120日間水中カプセル生活成功で、水中移住への兆しが見えた
郵便は海まで配達してくれるんかな…。
このほど、航空宇宙エンジニアが空でも宇宙でもなく、水中で120日間過ごしたそうですよ。
水中に120日間滞在する世界新記録
去る1月24日、カリブ海に沈められたカプセルでの120日間におよぶ生活を終えたRudiger Koch氏は、減圧なしの水中で最も長い時間を過ごしたとして、ギネス世界記録に認定されました。彼の目的は、人類が海を新しい生活空間にできると証明することだったとAFPが伝えています。
ドイツ出身のKoch氏は、AFPの取材に対して次のように話しています。
素晴らしい冒険でしたが、終わってみるとちょっと寂しい気持ちです。ここでの時間はとても楽しいものでした。夜が訪れて静かになったときに、海が光り輝く様子は本当に美しかった。
カプセルを出たKoch氏は、シャンパンと葉巻、そして海へのダイブでチャレンジの完走を祝ったといいます。
🌊 Day 120! Mission Accomplished! 🎉The Living Underwater Challenge is complete! Thank you for being part of this journey in showcasing the future of ocean habitation. 🌍💙📢 Join us LIVE on IG today for the Award Ceremony!🕐 1:15 PM EST🔗 IG Link: https://t.co/hVS9s6NNfnpic.twitter.com/9m8lWW5V5S
— Ocean Builders (@OceanBuilders) January 24, 2025
Koch氏は、パナマ沖の水深11mに設置された30平方メートルのカプセルに約4か月滞在しました。持続可能な海洋生活の実現に取り組むKoch氏が共同設立したOcean Buildersによって設計開発されたカプセルには、ベッドやトイレ、インターネット、電気、テレビ、エクササイズバイクが備え付けられていたとのこと。
ただし、シャワーは備えておらず、真水へのアクセスも限定的だったそう。120日間シャワーもできないんじゃ、カプセルから出て来たあとに海にダイブするってもんです。
The Timesは、Koch氏が「まるで夢から覚めたようです。魔法のような夢の世界にいた気分です」と語ったと報じています。
水中カプセルは、海上に浮かぶ別のポッドとらせん階段を通したチューブでつながっていましたが、階段は医師や、物資を届ける家族や友人などの訪問者専用で、Koch氏がカプセル外に出ないことを確認するために、4台のカメラが設置されていたとAFPが伝えています。
ギネス世界記録の認定員であるSusana Reyes氏は、「120日以上にわたって24時間体制で監視・確認する証人が必要でした」とAFPの取材に答えています。
これまでのギネス記録保持者は、アメリカ人男性のJoseph Dituri氏で、フロリダ州の水中ロッジに100日間滞在したのだとか。
持続可能な海洋生活を目指して
Koch氏が120日間の水中生活に挑戦した目的は、水中で人類が持続可能な発展を遂げる可能性を示すことだったといいます。
Koch氏は挑戦開始から2カ月たった頃、CBSの取材に「私たちは海に移住すべきだと考えています。そうすることで、サンゴ礁などの回復に貢献できるはずです」と答えていますが、Ocean Builderのカプセルがどのように貢献するかについては詳しく触れなかったようです。
Ocean Buildersの公式サイトには、人類の海への移住についてこう書かれています。
当社の技術により、人類は海に移住できるようになります。そして、他に類を見ない高い生活の質を備えた新たなフロンティアとして、海の可能性を解き放つことになるでしょう。海での生活を学ぶことで、陸上生活もより持続可能なものにする、環境に配慮したイノベーションの新たな波を起こせると信じています。
120日におよぶ海中生活がKoch氏の健康にどんな影響を与えたのか、あるいは与えなかったのか、また、将来的に水深11mの生活に興味を持つ人が現れるかどうか、ポセイドンのみぞ知るといったところでしょうか。
水も暗くて狭い場所も苦手な訳者には、120日どころか120分も無理です…。