大旋風!「AIデータセンター関連」ここから狙う隠れ本命株5選 <株探トップ特集>
今年も海外投資家は現物では例年と同じく売り越しに傾いているのだが、全体相場への影響は軽微で、むしろ先物主導で上値を追う展開が加速した。日米で AI関連株人気が盛り上がり、 半導体及びデータセンター関連といったその周辺株も怒涛の上昇波を形成、全体指数の牽引役を担っている。 生成AI市場の急成長に対応した世界的なデータセンターの建設ラッシュを背景に、株式市場では同関連株への投資マネーの攻勢が加速しており、この動きは波状的でなかなかフェードアウトする気配がない。
生成AIは企業サイドにとって収益化へのモデルがやや遅滞しているとはいえ、その進化スピードは凄まじく、もはや人類はシンギュラリティ(=AIが人間の知能を凌駕する技術的特異点)の領域に足を踏み込んでいる公算が大きい。だからこそ米ビッグテックは先を競う形でAIビジネスの確立に向けた活発な投資を行っている。そしてAIデータセンターはその象徴的なターゲットとなっている。従来型データセンターとの違いは、サーバーに内蔵される半導体がCPUベースではなく、AI半導体のGPUを主軸に導入されているということで、データを高速転送するための光ファイバーなどインフラ部品や、大容量のストレージ、膨大な電力使用で生じた熱を和らげる冷却技術などにも注目が集まっている。AIデータセンターは現状では米国が圧倒的にリードしている状況だが、日本も遅ればせながら政府支援によって欧米にキャッチアップを図っていく方向にある。 ●「スターゲート」の心臓となるAIデータセンターソフトバンクグループ <9984> [東証P]は今週24日に、米国の大規模AIプロジェクトである「スターゲート」で掲げていた5000億ドル(約75兆円)の投資対象として、米オラクル<ORCL>や米オープンAIとともに米国各地にデータセンターの整備を行うことを発表した。テキサス州など5カ所に新設する計画で、既に建設中の拠点を含めると、投資金額は3年間で4000億ドル規模に達する見込みという。これを受けて、東京市場では直近まで値を崩していたデータセクション <3905> [東証G]が戻り足に弾みをつけ、持ち前の快足ぶりを発揮するなど、ソフトバンクGがリリースしたニュースフローの波及効果はその他の関連銘柄にも大きな影響を及ぼした。
日本国内に目を向けると、基盤クラウド市場における日本企業のシェアは約30%に過ぎないとみられている。つまり残りの70%は外資系企業に委ねられている。基盤クラウドの過度な海外依存は経済安全保障の観点からも是正が必要であり、この課題に対処する形で経済産業省は日本企業による基盤クラウドの強化を本格的に後押しする方向にある。そして、こうした政策効果は株式市場においても、AIデータセンターという新たなテーマ領域を強烈にアピールすることになっていく。 26日の東京市場では、日経平均が400円弱の下げで、AI半導体関連株の一群も久々に押し目らしい押し目を形成している。しかし、このテーマはトランプ米政権下での強力な政策支援を核に新たなスタートが切られた段階にあり、そのバロメーターとして米国株市場が大崩れしない限り、東京市場でも決して色褪せることはない。今回のトップ特集では、“AI・半導体関連大相場の第2ステージ”でもあるAIデータセンター周辺株から要注目の5銘柄を選出した。 ●株高旋風カウントダウンの有望5銘柄に刮目◎大同メタル工業 <7245> [東証P]
大同メは軸受けメタルの専業メーカーで高い競争力を誇り、自動車用エンジンを筆頭に幅広い分野で世界屈指の商品シェアを確保している。業績もここ数年来成長に磨きがかかっており、トップラインは過去最高更新基調が続くほか、営業利益も26年3月期は前期比13%増の80億円と2ケタ成長を予想し、過去最高を記録した12年3月期以来の水準に達する見込みだ。そして、ポイントとなるのは同社がAIデータセンターを含むデータセンター向け発電機で、海外を中心に需要獲得が進んでいることだ。しかも、従来は非常用電源としての発電機であったが、最近は常用としてもニーズが高まってきているもよう。会社側ではデータセンター増設に国策支援が見込まれる国内案件の拡大にも期待を寄せている。 株価は4月上旬を底値に一貫した上昇波動を形成、週足でみると陽線の多さが際立っており、足の長い資金の継続的な流入をうかがわせる。投資指標面でPER12倍台、PBR0.6倍台は依然として割安感が強く、テクニカル的にも25日移動平均線とのカイ離を埋め買い場を提供している。4ケタ台を地相場とする中長期上値指向が続きそうだ。◎ニチコン <6996> [東証P]
ニチコンはアルミ電解コンデンサーを主力にフィルムコンデンサー、電気二重層コンデンサーなど各種コンデンサーを製造するほか、小型リチウムイオン電池、産業用・家庭用蓄電システムなども幅広く手掛ける。近年はデータセンター向けに旺盛な需要が発現しており、来期にはAIデータセンター向け高性能コンデンサーなどの収益寄与が本格化しそうだ。24年3月期、25年3月期と連続で減収・営業減益となったものの、26年3月期は営業利益が前期比15%増の60億円と回復色を強める見通し。自己資本比率が58%超と高く、健全な財務体質をベースに株主還元にも前向きな姿勢を明示し、14年3月期以降前期まで12期連続で増配を実施していることも特筆される。 株価は25日移動平均線を下限ラインとする一貫した上昇トレンドを7月初旬から約3カ月間続けているが、今後も上値追い基調を継続しそうだ。1500~1600円のゾーンが長期トレンドにおける上限となっているが、今回その因縁場をブレークする公算が大きく、2000円台回復を視野に捉えることになろう。◎武蔵精密工業 <7220> [東証P]
武蔵精密はホンダ系の自動車部品メーカーでトランスミッションギアやシャフトなどを生産している。業績面では売上高は足もと伸び悩んでいるものの合理化努力で利益率の向上に努め、26年3月期営業利益は前期比7%増の210億円と連続でピーク利益を更新する見通しにある。AI分野への取り組みにも積極的で、生産ライン向けAI外観検査システムなどを展開する。また、戦略商品として掲げるAIデータセンター向け非常用電源の高出力蓄電装置「ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)」で時代のニーズを捉えており、米オラクル<ORCL>が採用を検討すると発表し注目された経緯がある。今後も同装置はハイパースケーラーの需要を囲い込む可能性があり中長期的な成長を後押ししそうだ。
株価は9月上中旬に急動意をみせ、同月12日に3845円のザラ場高値をつけた後は目先筋の利益確定売りを吸収しているが、ここでのもみ合いは強気に対処したい。昨年12月5日につけた上場来高値4355円奪回が目標となる。貸株市場を通じた空売りが溜まっている一方、信用買い残はピーク時からかなり整理が進捗しており浮揚力が働きやすい。◎サンコール <5985> [東証S]
サンコールは、トヨタ自動車 <7203> [東証P]をはじめとする大手自動車メーカーを主要顧客に自動車エンジン用バネなどを主力展開する精密部品メーカー。電気自動車(EV)関連は依然として逆風が続いているものの、高い商品技術力を武器にAIデータセンター向け光コネクターや光アダプターなど光関連デバイスを製造・販売しており、これが高採算かつ需要も好調を極め利益押し上げに寄与している。業績面で注目されるのは26年3月期に営業利益段階で前期比37%増の47億円を予想し、08年3月期以来18年ぶりとなる過去最高更新が見込まれていること。来期以降も増益トレンドに変化はなさそうだ。
株価は8月中旬以降に急速人気化し、連日のストップ高を交え株価を一気に倍化させた。その後も利益確定売りをこなし切り大勢2段上げの様相を呈したが、目先は貸株市場を通じた空売りを浴び、株価も大きく調整を入れる形に。しかし、投資指標面ではPER8倍台で割安感が際立っており、早晩空売りの買い戻しで浮揚力が働く公算が大きい。押し目買いで対処し、新値街道への復帰を待つ展開に。◎システムサポートホールディングス <4396> [東証P]
システムサポはクラウドサービスに関する技術支援ビジネスのほか、データセンターの受託がストックビジネスとして収益に貢献している。今後は顧客ニーズに対応しAIデータセンターにも展開する可能性がある。もとより生成AI導入支援サービスで実績が高い。業績は快進撃を続け、トップラインと利益(営業・経常・最終利益)いずれも大幅な過去最高更新が続いている。26年6月期は売上高が前期比19%増の320億円、営業利益は同21%増の26億8600万円を見込んでいる。また、今後の見通しも明るい。中期計画として28年6月期に売上高401億5300万円、営業利益35億5200万円を掲げているが実現の可能性は濃厚だ。成長力抜群で19倍台のPERに割高感はない。 株価は最高値圏で推移するが、時価総額は300億円台に過ぎず中期的には更に大きく居どころを変えそうだ。戻り売り圧力から解放されていることは強みであり、当面の目標としては4000円大台が意識されることになろう。信用買い残も軽く過熱感がないため、需給面でも上値追いの足かせとなる要素は見当たらない。 株探ニュース