北京で最も高いビルに小型機衝突、数時間後には何事もなかったかのように 徹底した情報統制

26日に小型機が衝突した後の「CITICタワー」の様子/Johannes Neudecker/dpa/picture alliance/Getty Images

(CNN) 26日午後、世界で最も厳しい部類の飛行制限をかいくぐったとみられる小型機が北京で最も高いビルに衝突し、パイロットが死亡、13人が負傷した。109階建ての「CITICタワー」は街並みの中で圧倒的な存在感を放つ。

衝突の結果、ガラスの破片や機体の残骸が数百メートル下の通りへ降り注いだ。ちょうど会社員が週末に向けて帰途に就く時間帯で、中国で最も厳重に警備された都市の中心部に混乱が広がった。

それから間もなく、街はまるで何事もなかったかのように平穏を取り戻した。

今回の事案に関するすべての言及、そして衝撃的な映像は、中国のSNSから一掃された。政府は当初、衝突が発生したこと自体を公に認めなかった。現場の向かいに本部を置く中国中央電視台(CCTV)を含め、国営メディアは衝突に一切触れなかった。

その要因は中国の検閲部隊や、共産党当局による執拗(しつよう)な情報統制にある。特に、不都合な注目や悪影響を招きかねないと見なされる出来事に関しては、徹底的に情報が封じられる。

情報の空白により、衝突を目撃した人や報道を見た人の脳裏には、未解決の疑問が数多く残された。負傷者の数は丸1日近くわからなかった。

政府系メディアは現地時間27日午後、「単発双座の軽量スポーツ航空機が飛行中に高層ビルに衝突した」と報道。1人で搭乗していたパイロットが死亡し、現場にいた13人が負傷したと伝えた。今回の事案については「調査中」だとしている。

衝突が事故だったのか、意図的だったのかは依然不明だ。

当局にとっておそらく最も懸念すべきなのは、このパイロットがどうして中国で最も厳重に警備された首都上空を飛行できたのかという疑問が浮上したことだろう。北京は共産党エリートの大半が暮らす街で、ドローン(無人機)の飛行さえほぼ禁止されている。

CITICタワーは高さ528メートル。2018年から北京で最も高いビルになっており、街並みの中で圧倒的な存在感を放つ。

ビル内には、国有複合企業の中国中信集団(CITICグループ)やIT大手アリババが拠点を構える。周辺は北京の一等地で、外国人や外交官も頻繁に訪れるエリアだ。英国からベトナムまで各国の大使館が目と鼻の先にあり、世界銀行や国際金融公社(IFC)の中国事務所など、国際金融の有力機関にも近い。

衝突は26日午後遅くのラッシュアワーに発生した。検閲部隊が対応に乗り出す前のわずかな合間にインターネット上で共有された映像には、ビル上層部に小型機が衝突し、破片や機体の尾部が街に降り注ぐ光景が捉えられていた。

機体の登録コードが写ったネット上の画像から、衝突したのは国産の軽量スポーツ機「サンワード SA 60L オーロラ」とみられる。パイロットの訓練や個人向けのレクリエーションフライト、航空写真といったサービスを提供する地元企業が所有する機体だった。

CNNはタワーから避難した人が入り口付近の通りに集まる様子に加え、消防車や警察車両、救急車も目撃した。

情報の空白

北京に住むアンナさん(ファーストネームのみの使用を希望)は、ネット上で衝突のことを知り、現場へ向かったと振り返る。

「ちょうど2駅ほどしか離れていない場所にいた時に、この投稿を目にした。でもすぐに削除されてしまって。だからここに来た」

中国本土の外ではその後、衝突の映像が拡散した。

中国国内では、中国版X(旧ツイッター)の微博で「北京の航空機衝突」と検索しても、関連する結果は何も表示されなかった。

社会の安定を脅かす可能性があると見なされる事案が発生した場合、中国当局はすぐさま検閲や情報封鎖に乗り出し、警察を大量投入するのが常だ。

27日、CITICタワー付近の道路は封鎖され、現場周辺には警察が出動していた。立ち入りを許可されたのは、このエリアで働いていることを証明できる人のみ。CNNの記者によると、配達ドライバーは外で足止めされ、従業員が注文の品を受け取りに出てくるのを待っていたという。

ネット上に投稿された航空追跡サイト「フライトレーダー24」の未検証の飛行データを見ると、小型機は北京の石仏寺飛行場を離陸後、飛行ルートから大幅に逸脱した模様だ。

北京で軽量機を飛行させるには、中国民用航空局と人民解放軍空軍の両方から承認が必要となる。北京市は先月、趣味目的の飛行や消費者向けドローンを事実上禁止する包括的な規制を施行した。

中国では、注目度の高い死亡事故が発生した後に公式情報が途絶え、情報の空白が何年も続くことがある。

中国東方航空のボーイング737-800型機が広西チワン族自治区で墜落した事故から4年あまりが経過したが、中国政府は依然、公式の説明をしていない。この事故では132人が亡くなり、ここ数十年の中国航空業界で最悪の惨事となった。

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