米国の若者に浸透する「チャイナマキシング」、中国政府が進めるソフトパワー強化を後押し(CNN.co.jp)
(CNN) 「チャイナマキシング」なる現象が最近のソーシャルメディアを席巻している。これは熱いお湯をすすったり、スリッパ履きで家の中を歩き回ったり、中国の伝統的なファッションを彷彿(ほうふつ)とさせるアディダスのジャケットを羽織ったりする人々の動画が大量に出回る状況を指す。 写真特集:北京五輪の変わり果てた競技会場を見る こうした行動が「中国人になる」のに役立つと、コンテンツクリエーターたちは冗談めかして言う。そこには中国の文化や美学にますます魅了される西洋人の姿が浮かぶ。 あるTikTokクリエーターは、伝統的な中国の体操を行う動画に「新米の中国の悪役、朝のルーティン」とキャプションを付けた。2月下旬までに240万回以上再生された別の動画では、クリエーターがリンゴを煮て果実茶を作っている。中国で果実茶は、胃腸の健康を保つ昔ながらの万能薬とされている。 アジアがグローバルな文化資本を着実に蓄積していく中で、このような現象は以前にも見られた。 韓国のKドラマ、Kポップ、Kビューティーが世界中で愛される一方、日本には記録的な数の観光客が押し寄せ、その美しい街並みや高速鉄道に感銘を受けている。 どうやら次は中国の番のようだ。 「長い間、中国は韓国や日本と比べてそれほどソフトパワーを持っていないというのが定説だった」と、ハーバード大学科学史学科の博士課程学生、ティアンユ・ファン氏は述べた。 「ここ数カ月で状況はかなり変わりつつある。中国のビデオゲームや映画、そしてラブブ(人気のフィギュア)のような小さなものでさえ、中国にまつわる文化的なイメージを大きく変えようとしている。米国はもとより、広く西側諸国においてそうなっている」(ファン氏) しかし、現状はこれまでのアジア文化の波とは少し異なったもののように思える。まず韓国と日本がどちらも民主主義国家で、米国の忠実な同盟国であるのに対し、中国は権威主義国家であり、米国の主要なライバル国でもある。 この傾向は、米国民の雰囲気の変化も示している。 ほんの数年前、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)は、アジア人に対するヘイトクライムの急増を招き、死者が出る事件も起きた。トランプ米大統領は、新型コロナを中国拳法のカンフーをもじって「カン・フル」と呼び、人種差別的な言葉を繰り返し使用した。貿易戦争やその他の緊張により、中国嫌悪が広範囲で深まった。 このような背景を踏まえれば、多くのZ世代の米国人が「中国人になる」のを受け入れる現状は、態度を180度転換したように思えるかもしれない。 しかし専門家によれば、この傾向は米国人のより深い部分に潜む心情を明らかにするものだという。多くの米国人は国内生活に不満を抱いている。政治的な混乱から銃による暴力、移民取り締まり、そして根強い人種間の緊張など、その要因は様々だ。こうしたあらゆる問題が米国の表面的なイメージを曇らせ、若者たちの好奇心を国外へと向かわせる。米国の「向こう側」の生活とは一体どのようなものなのか、彼らは思いを馳(は)せることになる。 一方でファン氏は、単純に露出の問題でもあると指摘する。中国製品は長年にわたり世界中で普及してきたが、市場におけるその優位性に気付く米国人は一段と増えている。多くの分野がそうであり、とりわけ競争の激しいテクノロジー業界ではその傾向が顕著だ。 さらに、そうした米国人の目にする光景を通して「クール」のイメージに関する定義もまた大きく変わろうとしている。