日経平均大幅安、コアウィーブ社債急落で信用不安 「目先は慎重スタンス必要」「個別株の業績見極める局面」 市場関係者の見方
10月15日の東京株式市場で日経平均株価は6万5000円の節目を下回り、9月17日以来およそ1カ月ぶりの安値に沈んだ。相場急落の要因として前日の米CPI、米新興クラウドサービス、コアウィーブの社債価格の急落が指摘されている。市場関係者に大幅安の要因と今後のマーケットとの向き合い方を聞いた。
この記事の目次 [閉じる開く]15日に日本株が大きく水準を切り下げたのは米新興クラウドサービス、コアウィーブ(CRWV)の社債価格の急落が大きな要因だ。 コアウィーブはAI半導体を搭載したデータセンターを、AIの開発企業やクラウド大手に貸し出す「ネオクラウド」の先駆けにあたる企業だ。14日に一部報道で2032年に満期を迎える社債が急落したと伝わった。信用不安から14日の米国株式市場でハイテク株への売りが強まり、日本でも半導体関連の一角に売りが強まって日経平均は大きく水準を切り下げた。
目先の相場はコアウィーブ発で強まった信用不安が落ち着くかどうかだろう。もともと米長期金利が5%台まで上昇していた中で日米の株式相場は戻りを試していた。本来、金利の上昇は株式にネガティブに働く。金利高の中で株式相場が上昇するという不気味さを感じていたが、コアウィーブの社債急落が引き金となりショックな動きとなった。
2026年前半に個人投資家に人気となったキオクシアホールディングス(285A)も15日には大きく株価水準を切り下げている。AI関連投資で業績を伸ばすという期待感から6月に11万円台(9月末の株式分割前基準)まで上昇したものの、水準を切り下げる展開が続いている。株価水準を切り下げる中で、信用取引を使って株式を買って決済されないまま残っている信用買い残は13日時点で9,679億円にも膨らんでいた。日本株全体やキオクシアHD株の下落で損切りの動きが強まったと考えられる。
警戒するべきは信用不安ドミノ、短期はディフェンシブ株へ
――今後の相場見通しと個人投資家が心がけておくべきことは何でしょうか。
目先は日米の株式相場ともにボラティリティ(変動幅)が大きい状況が続くと予想している。警戒しているのは「信用不安ドミノ」だ。これまでAI関連企業は半導体やデータセンター整備に資金を充てるために、高い金利で資金を調達してきた。コアウィーブの社債急落をきっかけに関連企業の財務に及ぼす影響への警戒感が強まっている。よもやデフォルト(債務不履行)という話が出てくれば更に相場は大きく崩れかねない。今後も米AI関連の社債動向には注視が必要だ。
半導体関連株を保有している場合は、外部環境に左右されにくいディフェンシブ株に資金を移すのは一つの手だろう。今後は日米で企業の決算発表が本格化する。しばらくは慎重スタンスを維持して様子をみることも必要だ。決算発表の内容をしっかり確認した後に新たな投資先に資金を振り向けるという姿勢が良いだろう。
三浦豊氏・ 目先は米国発ニュースで一喜一憂、個別株は業績を見極める局面へ
――15日の日本市場では半導体関連株が大きく下げて日経平均も大きく水準を切り下げました。足元の急落の要因は何だとみていますか。
14日発表の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回った。インフレへの懸念が再び強まり、市場では10月の利上げ観測も高まった。そのうえ、大きなトリガーとなったのはコアウィーブの社債急落だ。同社は社債の急落とともに株価水準も大きく切り下げている。結果としてAI関連分野の資金調達環境に対する懸念が、市場全体に広がった形だ。14日の米国市場ではAI・半導体株の売りを誘発し、15日の日本市場へ波及した。
――東証株価指数(TOPIX)に比べて日経平均の下落幅が大きくなっています。
投資家の持ち高(ポジション)はAIや半導体などにかなり偏った状態が継続していたと考えられる。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は足元まで上昇基調にあった。一時期に比べて「極端なレベル」ではないと思われるが、多くの投資家の資金がAIや半導体関連株に過度に集中していた構図は続いているのだろう。15日はAIの先行きへの不安が一気に高まり、値がさの半導体関連に売りが強まったとみる。
米国市場でもAI関連に投資資金が偏っていたとみられる。目先は偏った持ち高を解消する「アンワインド」の動きが続き、日米の株式相場ともに不安定な展開が続きそうだ。仮に自律反発(テクニカルリバウンド)が起きたとしても、その翌日には再び売り圧力が強まる可能性があり、特に日経平均は値幅を伴った荒い動きが続くと見込まれる。
相場全体の「森」は慌ただしさ継続、個別株の「木」の丁寧な選別が重要に
――今後のマーケットはどのような展開になるとみていますか。
相場全体を「森」、個別株を「木」に例えることが多いが、目先「森」は慌ただしい状態が続くだろう。特に米国発のニュースに敏感に反応する展開になりそうだ。一方、個別の「木」をしっかり見極めるべき局面だ。今後、日米では決算発表が本格化する。各企業の業績動向を冷静に見極め、株価が下落した局面で割安になった優良銘柄を厳選して買いを入れていくスタンスが賢明だとみている。
15日に日経平均が急落する中でも東証プライム市場は全面安の展開にはなっていない。さすがにプライム市場全体では値下がり銘柄が多いが、値上がり銘柄も500超あった。半導体関連の先行き不透明感は漂うが、日本株全体では業績面の安心感が支えになっている。割安とされるバリュー株には押し目買いが入りやすく、半導体関連に比べるとしっかりした値動きになると予想している。
プロフィール
たけぞう氏
1988年に証券会社へ入社し約30年間勤務。東京証券取引所での4年間の“場立ち”を経て20年間以上証券ディーラーとして活躍。多い時には約10億円の資金運用を託され、重圧と戦いながら約50億円の収益を上げる。 現在は個人投資家である傍ら「誰にでも、わかりやすく」にこだわりラジオ、セミナーなど多くの舞台で投資手法を伝え、一人でも多くの投資家が株で収益を上げられるように日々活動している。
三浦豊 グローバルマーケットアナリスト
1984年新日本証券)現(みずほ証券)入社、大阪株式部で株式業務全般、現物、先物のディーリングに携わったのち1993年に株式部投資情報室に異動し、その後の合併に伴い新光証券、みずほ証券で30年超、テクニカルアナリストとして従事した。株式市場での経験は40年を超え多くの知見を得ている。2026年4月にみずほ証券を定年退職後はフリーで「グローバルマーケットアナリスト」として活動している。
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大学卒業後、金融情報会社QUICKに入社。データ関連事業に従事した後、日本経済新聞社の商品部、マーケット速報を担う日経QUICKニュース社に出向。約10年にわたり株式マーケットを中心に取材・記事を執筆し、日経CNBCでは解説も担当。QUICKでは金融プロ向けコメントサービスなどにも従事。2026年よりトウシル編集部に所属し、レポート編集や動画出演、独自記事の執筆を担当する。
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