中国で“XRアトラクション”が大ヒット。西安の店舗では1日で815万円の売上に(武者良太)
中国では、10月の大型連休・国慶節(こっけいせつ)にあわせて、観光地でXR(拡張現実)を使ったアトラクションが大人気となりました。なかでも注目を集めたのが「奥映未来(オウエイミライ/Aoying Future)」です。
西安市にある商業施設・小寨SEG店では、10月2日のたった1日で38万元(約815万円)もの売上を記録しました。チケットは連日完売。朝から行列ができるほどの盛況ぶりだったそうです。
アニメの中を歩ける体験が人気に
この施設で特に人気となったのが、この夏に中国で大ヒットしたアニメ映画『浪浪山小妖怪(ランランシャン・シャオヤオグァイ)』をモチーフとしたコンテンツ。プレーヤーはXRゴーグルを通じて、西遊記をなぞって旅をする妖怪たちと触れ合うことができます。まるで、アニメの世界の中に入り込んだかのように。
中国のメディア、93913.comの記事によれば、体験した人の約4割が再び訪れるというリピーターの多さも話題になっています。
改めて世界で広がる“ロケーションXR”
こうした動きは中国だけではありません。コロナ禍で一度は下火になった施設型のXR施設が、世界的に復活しています。代表格となっているのが、ハリウッド俳優のウィル・スミスさんやサッカー元イングランド代表のデビッド・ベッカムさんも投資した「Sandbox VR(サンドボックスVR)」(Web3ゲームプラットフォームのThe Sandboxとは別)。2020年にはアメリカの子会社が再生手続きをするほどの事態に追い込まれたものの現在は復調。世界各国で店舗を拡大中です。
日本でも復活の兆し
日本でも、体験できるXR施設が戻ってきています。
10月3日、東京・中野ブロードウェイには「XR Center Game Space」がオープンしました。ここではゾンビを退治するシューティング型のXRゲームで遊べます。
大阪・天保山の大阪文化館では、中国発のXR作品『唐宮夜宴(とうきゅうやえん)』が体験できます。古代中国の舞踊をテーマにした幻想的な世界が楽しめるとあって、日本人や在日中国人だけではなく、インバウンド観光客からも人気を集めているそうです。
さらに、横浜の複合施設「アソビル」では、音と光と映像で物語を体験できる『IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブ・ジャーニー)』が開催されています。
体験型エンタメが再び注目される
Meta QuestやPICOなど、XRゴーグルがあれば自宅で仮想空間を楽しめる現在ですが、あえてXRアトラクション/XRゲームセンターと呼ばれる場所に行き、友人や家族と一緒に体験することの価値が、今また見直されつつあります。
むしゃりょうた/Ryota Musha。1971年生まれ。埼玉県出身。1989年よりパソコン雑誌、ゲーム雑誌でライター活動を開始。現在はIT、AI、VR、デジタルガジェットの記事執筆が中心。元Kotaku Japan編集長。Facebook「WEBライター」グループ主宰。