ゴールドマンとJPモルガン、過去最大のLBO主導-大手投資銀の実力示す
米ゲーム大手エレクトロニック・アーツ(EA)がシルバーレイク・マネジメント主導のコンソーシアムに買収されることになった。買収総額は550億ドル(約8兆1000億円)と、史上最大規模のレバレッジド・バイアウト(LBO)となる。ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースが大きな役割を果たしている。
ゴールドマンはEAに助言を提供。シルバーレイクと組むJPモルガンは200億ドルのデットファイナンスも提供する。両社が30日に発表した。
この取引により、過去8年間にわたりM&A(企業の合併・買収)助言業務で首位を維持してきたゴールドマンの地位はさらに固まる。現在3位のJPモルガンは2位のモルガン・スタンレーに一歩近づくことになる。
巨大案件に対応できる米大手投資銀行の実力が改めて示された。取引規模の大きさを踏まえると、センタービュー・パートナーズやエバコアといったブティック型投資銀行では資金手当てはほぼ不可能とみられる。
JPモルガンが提供する200億ドルは、LBO案件で単独の銀行によるコミットメントとしては過去最大となる。
EAの案件は、超大型M&Aを大手銀行が主導する流れの最新の例になる。ユニオン・パシフィックによる総額800億ドル超のノーフォーク・サザン買収でも、ブティック型投資銀行の関与はなかった。
また、相対的に高い手数料を生むLBO向けファイナンス業務で銀行に対抗するようになったプライベートクレジット業界に対しても、銀行側の大きな勝利となる。
JPモルガンはプライベートクレジットも手掛けているが、今回のコミットメントはレバレッジドファイナンス部門で引き受けたものだ。関係者によれば、同行は国際的な引受団を組成する見通しだ。
債務はシングルBクラスの格付けを得る見込みで、複数の通貨建ての高利回り債とレバレッジドローンとして幅広い地域で売却される予定だという。最終的な構造は、取引開始時の市場環境に左右されると関係者は付け加えた。
買収には、サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)とジャレッド・クシュナー氏が率いるアフィニティ・パートナーズ参加する。
JPモルガンのブランドは、PIFやアフィニティが複数の法域で規制当局の承認を得る上でも有効に働く可能性がある。
EAにとっては、M&A助言首位のゴールドマンを起用したことは、可能な限り有利な評価額で公正な取引を確保したという投資家に対するアピールになる。
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原題:Bulge-Brackets Goldman and JPMorgan Land Biggest LBO Ever、JPMorgan’s $20 Billion EA Deal Marks Win Over Private Credit (2)(抜粋)