【兜町スクランブル】イラン軍事衝突で株急落、今後1カ月間で想定されるシナリオは?
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
そのトランプ米大統領は3月末に訪中する予定と伝わっている。米中首脳会談は、4~5週間としていた当初の作戦期間内に開かれる公算が大きい。米国は中国と友好関係にあったベネズエラに続き、同じく中国の友好国でもあるイランの体制転覆を仕掛けた。対イラン作戦を早期に収束させたい米国と、国内経済の悪化を避けたい中国の首脳同士がどのような「手打ち」をするのか。前哨戦として3月半ばにベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相がパリで協議をする予定だと報じられている。ボーイング<BA>の航空機購入や米国産大豆の購入、台湾問題が議題に上る可能性があるようだ。原油輸出国の米国はホルムズ海峡の情勢安定化をネタに、中国との交渉を優位に進めようとするに違いない。
トランプ大統領はイランでの軍事作戦について、ミサイル能力の破壊と海軍のせん滅、核兵器保有を阻止すること、イラン国外のテロ組織への武器・資金の提供や指揮をできないようにすること、の4つの目標があると表明している。ハメネイ師の殺害から後継者選出の会議への空爆など、イスラエルと米国は高い情報分析力を持ってイランへの攻勢を強めている。イランからの攻撃を受けた中東諸国も、経済活動を踏まえれば事態の悪化は防ぎたいというのが本音のところだろう。早期に幕引きを図りたいというのが米国側の立場であるだけに、「突如としてトランプ大統領が『4つの目標は達成した』と言ってイラン問題から手を引き、マーケットの不安心理が一気に解消に向かう可能性も意識しなければならない」(銀行系運用会社ストラテジスト)との声が出ている。 半面、イスラエルのネタニヤフ政権が強硬的な姿勢をすぐに和らげることは、自国内での政権支持の回復という動機に照らせば見込み薄であり、イスラエルに引っ張られる形で米国がイランでの軍事行動に長期間、参画し続けるシナリオも横たわっている。いずれにせよ中東情勢が流動的な状況下では、原油相場の動向が株式市場を左右する大きなファクターとなる局面が続くこととなるだろう。「原油相場の急上昇が回避できれば、高市政権の経済政策による効果に再び市場の関心が向かうようになり、建設や不動産といった内需系セクターから徐々に物色されることになるだろう」(中堅証券ストラテジスト)との見方がある。(碧)