「逃げろ」教室に響く叫び声 同級生失い、生き残った少女の決意
大阪教育大付属池田小の乱入殺傷事件で、当時2年生だった渡辺怜奈さん=大阪府吹田市で2026年5月26日、前田梨里子撮影
幼なじみだったあの子は、泣き虫の私をいつも励ましてくれた。
別れは突然だった。小学生のころ、社会を揺るがす事件に巻き込まれた。
「あの子のためにも全力で生きたい」
あれから25年。泣いてばかりいた少女は今、満員のスタジアムで子どもたちに夢を届けている。
児童8人が犠牲になった大阪・池田小事件から25年。あの日、現場で何が起きたのか。悲しみを背負いながらも歩みを進める人々を追いました。 ・血に染まった小さな背中 児童8人が犠牲、救急隊員の消えぬ記憶 ・あの子たちのいない卒業式 先生の誓いは「命を守る授業」に
校内放送で流れた悲鳴
2001年6月8日、午前10時すぎ。大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の2年生だった渡辺怜奈さん(32)は、校舎1階の2年東組の教室にいた。
2時間目の授業を終えた直後だった。終業のチャイムに続いて、「キャー」という悲鳴だけの校内放送が流れた。
「いたずらかな。誰かの押し間違いかな」
そう思った次の瞬間、男が大声で何かを叫びながら教室に入ってきた。手には包丁が見えた。
誰かが「逃げろ!」と叫んだ。
幼いながらも「ここにいてはいけない」と直感し、とっさに教室を飛び出した。
逃げ出す際、男と体がぶつかった。そのまま廊下に出て階段下のスペースに身を隠した。
階段の踊り場付近では、担任教諭と男が格闘していた。教諭が椅子を投げ、「こっちに来るな!」と大声を上げた。
すぐに階段を駆け上がり、兄がいる教室に駆け込んだ。椅子や机で入り口を塞ぎ…