ポジティブな材料として、ジョルディ・クルークスの名前を挙げたい。 豊富な経験と持ち前のテクニック、そしてインテリジェンスを披露した [J27節 町田戦レビュー]
町田戦の粘り強さと集中力をベースに
欲を言えば勝ち点3がほしかったゲームだが、「ポジティブに捉えていい引き分けだと思う」という宮市亮の言葉も決して間違っていないように感じた。
背番号23は「チームとして耐えた結果だと思う」と続けた。全体を通して振り返ると、FC町田ゼルビアに主導権を握られる時間帯の多い試合だった。ロングボールを起点とする攻撃はシンプルながらパワーと迫力があり、後手に回ってしまうのは仕方ない部分がある。
そんな展開でも焦れずに失点ゼロの時間を長くすることが勝機を見出す最大のポイントで、この日のマリノスはそれをしっかりと実践できていた。ファインセーブでチームを助けた朴一圭が「今日は特にジェイソン(キニョーネス)とトミー(トーマス・デン)がかなりタフに戦ってくれた」と話したように、角田涼太朗の負傷離脱で再結成となったセンターバックコンビが出色のパフォーマンスを見せた。
後ろが安定すれば大崩れしない。チーム全体が集中力高くプレーし、絶体絶命のピンチは一度もなかったはず。それどころか後半アディショナルタイムに松村晃助が二度の決定機に絡んだ。ひとつのクロス、ひとつのシュート、それぞれクオリティが少し足りなかったのが現実であり、現在地だろう。彼にとっては貴重な経験になった。
負ける危険性もあったが、勝つチャンスもあった。結果はお互い譲らずスコアレスドロー。8連勝中と好調の相手に一歩も引かずに戦った姿勢は評価に値するし、すべての試合を勝てるわけではない。置かれている状況がどうしても悲観的な思考にさせてしまうのだろうが、長いリーグ戦では必ずある類の引き分けだ。
価値ある勝ち点1を上積みし、ついに降格圏を脱出した。残り11試合時点の順位に大きな意味はないとはいえ、「シンプルにチームとして大事なところ」(加藤蓮)という考えも当然あっていい。町田戦での粘り強さと集中力をベースに、残りの試合を戦い抜きたい。
右サイドの再構築に目処
ポジティブな材料として、ジョルディ・クルークスの名前を挙げたい。
(残り 815文字/全文: 1844文字)
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。