「根拠なき熱狂」指数が急上昇-新たなバブルのシグナル点灯か
米株式相場は4月の関税発表による売りから急速に回復し、過去最高値付近で推移している。特別買収目的会社(SPAC)の新規案件も再び増えつつあり、キャシー・ウッド氏の上場投資信託(ETF)も歴史的な上昇を見せている。
こうした状況の中で、バークレイズが算出する「根拠なき熱狂」指数が急上昇した。この表現は、米連邦準備制度理事会(FRB)元議長のアラン・グリーンスパン氏が、資産の本質的価値を超えて価格が過熱する現象を表すために用いたものだ。
バークレイズによれば、同指数の1カ月平均は2月以来初めて2桁台となり、過去に市場の過熱を示した水準に達している。
同指数は、デリバティブ指標、ボラティリティーに関するテクニカル分析、オプション市場から推定されるセンチメントを基に算出されており、過去の平均は7%程度。
1990年代後半のドットコムバブル期や2021年のミーム株ブームの際には10%を超えた。現在は約10.7%の水準にあるという。
ラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は「ファンダメンタルズは再び二の次となり、話題性のある銘柄が宝くじのように売買されている」と話す。
同氏は相対力指数(RSI)やバリュエーション倍率などの指標が再び過熱気味になっている点を指摘し、「次の悪材料で急落が起こる下地が整っている」と警戒感を示した。
投資家のアニマルスピリットが再び高まっている背景には、米国と主要貿易相手国との交渉が進展しているとの楽観やトランプ米大統領が9日に予定している追加関税の発動を少なくとも延期するとの期待がある。さらに米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測も市場を支えている。
こうした中、米株式市場は6月27日に2月以来となる過去最高を更新した。
バークレイズによると、市場には過熱感を示すフロス(小粒の泡)が数多く見られる。新規SPACの上場件数増加やウッド氏のARKイノベーションETF(ARKK)の上昇に加え、ビットコイン関連銘柄や量子コンピューター関連株、いわゆるミーム株など不透明な将来のリターンに賭ける投資の対象が値上がりしている。
バークレイズの米国株デリバティブ戦略責任者、ステファノ・パスカーレ氏は根拠なき熱狂指数について「数値が高い状態が続くということは、投資家が過度に熱狂している可能性があり、それが市場のボラティリティーを高めるリスクがあることを示している」と語った。
原題:‘Irrational Exuberance’ Stock Gauge Sparks Fresh Bubble Worries(抜粋)