世界規模の疫学調査により炎症性腸疾患(IBD)の進展4段階を解明 -2045年までに世界的な患者数増加を予測(北里大学)

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北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センターの小林拓センター長(北里大学医学部消化器内科学 准教授兼任)らを含む国際共同研究チーム(主導:カナダ・カルガリー大学 Gilaad G. Kaplan 教授、中国・香港中文大学 Siew C. Ng 教授)は、過去100年にわたる80以上の地域からの500以上の疫学研究データを解析し、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)の世界的な進展を「4つの疫学段階」として体系化しました。この研究成果は、2025年4月30日付で英国科学誌「Nature」に掲載されました。 ■研究成果のポイント ・炎症性腸疾患(IBD)の進展を、発症数や有病率の変化に基づき「出現期」「発症急増期」「有病率増加期」「有病率平衡期」の4段階に分類。 ・2045年までに高所得国では有病率が頭打ちになる一方、アフリカ、アジア、中南米では新規発症数の急増が予測され、医療体制の強化が急務。 ・世界最大規模のIBD疫学データベース「GIVES21」を構築し、オープンアクセスで公開。 ■研究の背景 炎症性腸疾患(IBD)は、これまで欧米を中心に増加してきましたが、近年では新興国においても急速に患者数が増加しています。世界的な疾病負荷の増大に備えるためには、地域ごとの発症動態を正確に把握し、予測することが求められています。 ■研究内容と成果 本研究チームは、過去100年分の疫学データを解析し、IBDの進展を以下の4段階に整理しました。  ① 出現期:低所得国に見られ、発症率・有病率ともに低い段階  ② 発症急増期:産業化と生活習慣の変化に伴い新規発症が急増する段階  ③ 有病率増加期:発症率は安定するが、累積患者数の増加により有病率が上昇  ④ 有病率平衡期:発症と死亡が釣り合い、有病率が安定する段階(2045年頃予測) これにより、各国の医療政策立案や予防策の設計に向けた科学的基盤が提供されました。 ■今後の展開 本研究に基づき、低・中所得国での疫学サーベイランス強化や、高所得国での高齢IBD患者に対する包括的ケア体制整備が求められます。また、予防の鍵となる環境因子や腸内マイクロバイオームへの介入も重要視されています。 ■論文情報 掲載誌:Nature 論文名:Global Evolution of Inflammatory Bowel Disease across Epidemiologic Stages 著 者:Hracs, L., Windsor, J.W., Ng, S.C., Kaplan, G.G., 小林拓 ほか DOI:10.1038/s41586-025-08940-0

URL:https://doi.org/10.1038/s41586-025-08940-0

(本研究は、Leona M. and Harry B. Helmsley Charitable Trust、International Organization For the Study of Inflammatory Bowel Disease (IOIBD)、ならびに30以上の国際パートナーの支援を受けて実施されました。) ■用語解説 ※ 炎症性腸疾患(IBD):潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)を含む慢性腸炎症性疾患。 ※ GIVES21コンソーシアム:21世紀におけるIBD疫学研究データを統合・可視化する国際共同プロジェクト。 ■問い合わせ先 【研究に関すること】  北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター  センター長 小林 拓(こばやし たく)  e-mail:[email protected]

 URL:https://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/visitor/section/soc/ibd/

【報道に関すること】  学校法人北里研究所 広報室  TEL:03-5791-6422  e-mail:[email protected]

【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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