【焦点】FOMC会合は再び金利据え置きへ、米GDPや雇用統計注視

米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月29、30日に定例会合を開催する。政治的圧力が高まり、通商政策が変化する中、経済の動向も複雑さを増しており、難しい判断が求められる。

  FOMCの会合に加え、米国内総生産(GDP)や雇用統計、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する物価指標といった主要経済指標が同じ週に公表される。FOMC会合では、今回も政策金利が据え置かれるとみられている。

  4-6月(第2四半期)の経済活動は回復基調を示すと予想されている。主因は貿易赤字の大幅縮小だ。一方で、7月の雇用の伸びはやや鈍化する見通し。また、基調的なインフレ指標では6月に若干の加速が見込まれている。

  4-6月のGDP速報値は年率で2.4%増が予想されており、1-3月の0.5%減から回復する可能性がある。ただし、家計消費と設備投資は依然として控えめな水準にとどまるとみられる。

  ブルームバーグの調査によると、個人消費の予想中央値は1.5%増にとどまる見通し。住宅市場の低迷も経済活動の足を引っ張るとみられている。

  8月1日に発表される7月の雇用統計では、企業が採用に関する慎重姿勢を強めていることが浮き彫りになる見通し。教育分野の雇用増に支えられた6月の増加から一転、伸びが鈍化し、失業率も4.2%に上昇すると予想されている。

  非農業部門雇用者数の伸びは10万人程度にとどまり、過去8カ月で最も低い伸びとなる見込み。今年上半期の雇用増ペースは2024年の平均を下回っており、雇用の裾野も狭まっている。6月の求人件数も減少が見込まれている。

  一部の米金融当局者は、労働市場の脆弱(ぜいじゃく)性を懸念しており、すでに2人が利下げの検討に言及している。加えて、トランプ大統領は、パウエル議長らに対して、企業と消費者向けの借り入れコストの引き下げを繰り返し求めている。

  こうした中、パウエル議長を含む米金融当局者らは、トランプ政権の関税政策がインフレを再加速させるリスクを考慮し、慎重な対応の必要性を強調している。現時点では、米国が多くの輸入品に関税を課して以降、インフレ圧力は比較的穏やかにとどまっている。

  6月の個人所得・支出統計では、FRBが重視するコア個人消費支出(PCE)価格指数が前月比でわずかに加速したと見込まれており、関税の影響が消費者に徐々に波及している可能性がある。

  他国では、日本、カナダ、ブラジルの中銀も政策金利を据え置く可能性が高い一方、南アフリカ、チリ、ガーナ、パキスタン、コロンビアでは利下げが予想されている。国際通貨基金(IMF)の新たな経済予測や各国・地域の購買担当者指数(PMI)、欧州のGDPとインフレ指標も注目される。

原題:Pressure Mounts on Powell in Tee-Up to GDP, Jobs Data: Eco Week(抜粋)

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