65歳まで“家賃約4万円”で「社宅住まい」予定のわが家、妻に「社宅を出た後はどうするの?」と言われ…。“退職金1200万円”で思い切って「家を買う」べきでしょうか?(ファイナンシャルフィールド)
国税庁では、「使用人に対して社宅や寮などを貸与する場合には、使用人から1ヶ月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額の50パーセント以上)を受け取っていれば給与として課税されない」としています。 人事院の調査によると、社宅がある企業の割合は45.8パーセントという結果でした。同調査の「東京都特別区内の世帯用社宅の保有形態別、面積区分別平均月額使用料及び平均月額賃料」によると、23区内での社宅の平均月額賃料は「2万5167円~4万3559円」ほどで、全企業の平均よりやや高めの結果となっているようです。 なお、上記の月額賃料は従業員の自己負担額であり、自社保有ではない民間からの「借り上げ社宅」の場合、企業の平均契約月額は「12万8443円~15万935円」となっており、社宅の自己負担額は相場と比べてもかなり安いといえそうです。
企業にもよりますが、雇用契約の終了する定年後は、使用貸借・賃貸借契約のいずれにしても、社宅には住めない場合が一般的のようです。 仮に定年後も社宅と立地や間取りなど、近似した条件で賃貸物件を探す場合、前記の借り上げ社宅における企業の契約額は、法人契約による一例ではありますが、社宅補助がなくなった場合の家賃負担の大きさをイメージする目安にはなるでしょう。 また、定年後収入が低下した状態での賃貸契約は、保証会社等の審査に通りづらくなる可能性も考えられます。未然に防ぐためには、子どもの教育資金の準備がある程度落ち着いた時点で、世帯状況に応じた住宅購入のための資産形成を始めるのもいいのかもしれません。
定年後、ローンを組まずに一括で住宅購入を検討する場合を想定して考えてみましょう。 東京都産業労働局の発表によれば、中小企業における「大学卒・会社都合での定年退職者」のモデル退職金は「1149万5000円」のようです。 一般的に、都心から40~50キロメートル圏内の郊外における戸建ての価格は「2500万円~3000万円」程度といわれています。「1500万円」程度の貯蓄があれば、「2500万円~3000万円」程度の住宅を一括で購入できる可能性もありそうです。 前記のとおり、東京都23区の社宅での自己負担平均上限は4万3000円ほどです。仮に家賃の会社負担分が50パーセントとすると、同額の4万3000円を、いわゆる「つもり貯金」として毎月貯蓄に回すことができます。 毎月4万3000円を貯蓄する場合、1500万円貯まるまでに必要な期間は約349ヶ月となり、30年近い年数がかかる計算になります。ただし、退職金や貯蓄の大半を住宅購入に充てた場合、老後の生活費や医療・介護費用に回せる手元資金がほとんど残らなくなる点には注意が必要です。 定年後にローン無しでの住宅購入を検討するなら、NISAなどの資産形成手段も視野に入れるなど、若いうちから長期的な資金計画を立てる必要があるでしょう。