「就労率が従来の3倍」精神障害者の職探し 米国発手法の光と影

毎日新聞 2026/6/6 10:00(最終更新 6/6 16:05) 有料記事 3384文字
IPSと就労移行支援の違い

 精神障害がある人の雇用が身体障害者の半分未満にとどまる中、新しい形の就労支援に取り組む人たちがいる。従来型の支援だと2割弱だった就労率が、新手法では6割を超えたという研究結果も。英国などでは制度化もされている。にもかかわらず国内ではあまり広がっていない。どういうことなのか。

 <主な内容> ・掛布さんの場合 ・「IPS」という新しい支援を導入した病院では ・広がらない訳

 ・国内でIPSを導入している施設の一覧

 体の芯まで凍るような真冬の朝、見知らぬセダンが家の前に止まった。車から出てきたのは2人の屈強な男性。無理やり車に乗せられ、見知らぬ病院に連れて行かれた。

 東京都内に住む掛布のりひろさん(52)=仮名=は15年前の2011年1月、多摩市にある桜ケ丘記念病院に入院させられた。

 大学在学中から入院、通院を繰り返し、うつ病や人格障害(パーソナリティー障害)などの診断を受けた。同居していた両親との関係が悪く、この時は本人でなく家族などの同意で行われる医療保護入院だった。

 2カ月後、退院後の就労について病院に相談すると、精神保健福祉士の中原さとみさんから1枚のリーフレットを手渡された。

 紙には「IPS」という文字が印字されていた。米国で開発された就労支援の手法だという。「Individual Placement and Support」の略語で、日本では「伴走型個別就労支援」などと呼ばれている。

 読書好きの掛布さんは早速、解説する本を取り寄せて勉強してみた。

IPS、実際に利用してみると……

関連記事: