NY市場サマリー(27日)米株主要3指数が連日最高値、ドルは軟調、利回り小幅上昇

<為替> ニューヨーク外為市場では、米中通商合意を巡る楽観的な見方を背景にリスク選好度が高まり、ドルがユーロのほか、中国人民元や豪ドルなどに対して下落した。ただ、週内に予定される日米などの一連の中銀金融政策決定会合の結果を見極めようと、全体的な値動きは小幅にとどまった。

市場は28日の日米首脳会談にも注目。トランプ米大統領と高市早苗首相は通商問題についても協議するとみられている。高市氏が一段と拡張的な財政政策を打ち出す可能性があるとの観測を背景に円はこのところ軟調。ドル/円はこの日の終盤の取引で、ほぼ横ばいの152.92円。

米中通商協議を巡っては、ベセント米財務長官が26日、マレーシアの首都クアラルンプールで行っていた米中閣僚級協議で「非常に実質的な枠組み」に到達したと明らかにし、トランプ大統領が警告していた中国製品に対する100%追加関税は回避されるとの見通しを表明。 アジア歴訪中のトランプ大統領はこの日、米中は通商合意に至るとの見通しを示した。トランプ氏は30日にアジア歴訪の一環として訪問する韓国で中国の習近平国家主席と会談する。

バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「米中が崖っぷちから転げ落ちることはないように見えること、米国が一部の東アジア諸国と通商協定や枠組みを取りまとめたこと、アルゼンチンでミレイ大統領が中間選挙で勝利したことの3点が市場心理の下支えになっている」とし、「市場はユーフォリア的な状況になっている」と述べた。

この日はまた、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁が人民銀が公開市場で国債売買を再開すると発表したと国営新華財経が報道。INGのグローバル為替調査責任者、クリス・ターナー氏は、こうした動きは内需下支えに向けた意思の表れであると同時に、30日の米中首脳会談を前にした善意のジェスチャーである可能性もあるとの見方を示した。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが小幅上昇した。米中貿易合意を巡る期待からリスク選好が優勢となった。また市場では、政府機関閉鎖により経済指標が不足する中、12月の利下げ判断が複雑になるとの懸念も広がる。

午後の取引で10年債利回りはほぼ横ばいの3.997%。終盤にかけて取引序盤の上昇分を縮小した。

ブリンマー ・ トラスト (ペンシルベニア州)の 債券担当ディレクター 、 ジム ・ バーンズ氏は、米中の貿易枠組み合意による リスク選好で国債が売られ、利回りが上昇したと指摘。「売り圧力は若干巻き戻されているが、それでも利回りの方向性を左右する主な要因であることに変わりはない」と述べた。

2年債(690億ドル)と5年債(700億ドル)の入札を受け、午前中の利回りが一段と上昇した可能性もある。

財務省がこの日実施した2年債入札はまちまちの結果となった。最高落札利回りは3.504%と、入札締め切り時点の予想を若干下回った。これを受け、2年債利回りは1.9bp上昇の3.503%となった。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は主要3指数が前営業日に続き終値で最高値を更新し、S&P総合500種は初めて6800台で取引を終えた。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談が30日に予定される中、米中貿易摩擦を巡る懸念が和らいでいる。

今週は米ハイテク大手が四半期決算を発表する。また、28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%ポイント利下げがほぼ確実視されている。

米中首脳は30日の会談で、米国による100%の対中追加関税を回避し、中国のレアアース輸出規制を延期する可能性のある枠組みを決定する見通しだ。

貿易摩擦を巡る懸念が後退したことを受け、投資家の不安心理を示す「恐怖指数」(VIX指数)(.VIX), opens new tabは約1カ月ぶりの水準に低下した。

ベセント米財務長官は週末のテレビ番組で、中国による米国産大豆購入やレアアース輸出を巡る合意について言及した。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米中対立懸念の緩和を背景に安全資産としての需要がしぼみ、大幅続落した。

ベセント米財務長官は26日、ABCテレビのインタビューで、11月1日から課すと していた100%の対中追加関税について「回避される」と言明。新たな対立のきっかけとなった中国によるレアアース(希土類)輸出規制強化を巡り、「再検討のため、(中国が実施を)1年間延期するだろう」と語った。

両国は25、26両日、30日に予定される首脳会談への地ならしとして、閣僚級の貿易協議を実施。中国側が米国産大豆の輸入再開に合意したほか、米国に流入する合成麻薬 「フェンタニル」問題でも協力することで一致したという。これを受け、両国の対立激化に対する懸念が和らぎ、安全資産の金の持ち高を手じまう動きが加速。アジア、欧州に続き、米国でも株式などのリスク資産買いが活発化する中、金相場は午前に一時3986ド ル付近の安値を付けた。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米中通商合意への期待が広がる中、有力産油国による増産継続観測が重しとなり、続落した。

米中両政府は26日、マレーシアのクアラルンプールでの2日間の閣僚級貿易協議を終えた。ベセント米財務長官は、30日に韓国で実施予定の米中首脳会談に向けた「枠組みができた」と記者団に表明。さらにベセント氏は同日、ABCテレビのインタビューで、11月1日から課すとしていた100%の対中関税について「回避される」と明らかにした。これを受け、首脳会談で通商合意が成立し、エネルギー需要を押し上げるとの期待が台頭。相場は一時62ドル台に乗せる場面もあった。ただ、高値圏では利益確定の売りが出やすく、上値は限られた。

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」の有志8カ国が11月2日に予定されている会合で、12月の原油生産量を小幅に引き上げる方向 に傾いているとの観測も相場を下押し。ロイターが複数の関係筋の話として報じた。 国際エネルギー機関(IEA)が今月中旬に公表した月報で、世界石油市場が来年に日量400万バレルの供給過剰に陥ると予想したこともなお意識されているもようだ。

NYMEXエネルギー:

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