消費期限を偽装、ミニストップFC23店の実情 半数はなぜか大阪、気になる「常習性」
コンビニのミニストップの一部店舗が店内調理のおにぎりや弁当の消費期限を偽っていた問題で、不正が判明した京都の店舗が保健所の聴取に対し、「昨年4月ごろから、廃棄ロスを減らす目的でやっていた」と説明していたことが22日、分かった。ミニストップは「組織的関与はない」としているが、全国約1600店舗で店内調理のおにぎりと弁当、総菜の販売を中止。店内の調理や販売に関するルールを定めた「加工手順書」や加盟店への指導体制を全面的に見直す。
店内でラベル発行
不正が判明した京都市西京区の「嵐山駅前店」は京都市保健所の聴取に対し、廃棄される食品ロスを減らすために不適切な表示をしていたと話した。本来調理後にすぐ貼る消費期限のラベルを、4時間後に貼る手口などを約1年前から行っていたという。
不正が判明したミニストップ嵐山駅前店=京都市西京区不正が判明した兵庫県2店舗のオーナーも保健所の聴取に対し、「売れ残って廃棄するのはもったいない」「1年半~2年ほど前からやっていた」と説明。午後7時や8時が期限のラベルの上に再度11時のラベルを貼るといった偽装が確認された。
京都や兵庫の保健所では、すでに立ち入り検査をし、再発防止策をとるよう指導したという。
ミニストップ本社によると、おにぎりの消費期限は工場で作った場合は約1日だが、店内調理の場合は8~10時間とされる。23店舗で行われていた不正は、店内で製造後1~2時間程度、消費期限のラベルを貼らない▽新たにラベルを貼り替える―といった主に2つの手口で、消費期限を引き延ばしていた。
本部「手順書見直し」
23店舗はいずれも直営店舗ではなく、コンビニでは主流の、オーナーを経営主体とするフランチャイズチェーン(FC)経営だった。ラベルは店内で発行するシステムで、会社側が店内での調理や管理の実態を把握し切れていなかったとみられる。
ミニストップ側の担当者は「ラベルの貼り方だけでなく、店内調理や販売のルール、教育指導を全面的に見直す」と話す。
問題発覚は6月。定期調査を手がける委託先の民間機関が、おにぎりに消費期限のラベルが二重に貼られているのを見つけたのがきっかけで、五月雨式に不正が判明した。
最も多い11店舗で不正が見つかった大阪府内では、管轄するそれぞれの保健所が、食品表示法違反の可能性もあるとして立ち入り検査を行い、指導する方針。大阪市では同法に基づき、市内の全24店舗に立ち入り検査に入ると明らかにした。店内調理をしていない店舗も対象とし、実態把握を進める。
「コンビニの食品を巡る消費偽装は珍しい。なぜ大阪が多いかはわからないが、店内での調理方法や商品の製造過程を確認し、対応を考えたい」。大阪府内のある保健所の担当者はこう話す。
大阪府の吉村洋文知事は「コンビニのおにぎりは日常生活に溶け込んでいる。原因究明して再発防止に取り組むことが重要で、府としても事業者へ指導していく」と話した。
廃棄ロス…背景は?
今回の不正の背景の一つとして考えられるのが、コンビニの廃棄ロスだ。公正取引委員会が令和2年9月に公表した調査によると、コンビニ1店舗あたりの営業費(中央値)は2299万円で、うち廃棄ロスは468万円で2割を占めるという。
これまで健康被害は確認されていないものの、消費者には深刻な不信感を与えた今回の消費期限偽装問題。担当者は「原因究明を尽くし、加盟店、本部が協働し、より安全安心な商品を提供していきたい」としている。