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米ニューヨーク市の国連本部で開催された国連総会で一般討論演説に臨むガーナのジョン・マハマ大統領(2025年9月25日撮影)。(c)TIMOTHY A. CLARY/AFP

【9月30日 AFP】米国からガーナに第三国追放された西アフリカ出身者たちは、パスポートも持たされずに隣国トーゴに遺棄され、自活を余儀なくされている。弁護士と当事者がAFPに明らかにした。ドナルド・トランプ米大統領による広範かつ不透明な強制送還プログラムの新たな展開だ。

ガーナのジョン・マハマ大統領は今月、米国を追放される西アフリカ出身者を受け入れることで合意したと明らかにした。

ガーナはその後、米国から受け入れた西アフリカ出身者8~10人を強制的にトーゴに追放。正式な国境検問所を通過せず、パスポートも持たせずに路上に放置した。

ナイジェリア出身のベンジャミンさん(仮名)は先週末、AFPの取材に対し、他の3人の追放者と共にベッドが一つしかないホテルの一室に滞在し、米国にいる家族からの仕送りで暮らしていると語った。

これまでに、米国からガーナに最多で28人が追放している。

ガーナ政府は当初、西アフリカ出身者14人が米国から到着したと発表した。米国在住の弁護士メレディス・ユン氏によると、同人数を乗せられる2機目の飛行機がその後ガーナに着陸したとされるが、2機目の搭乗者数は明らかになっていない。

最初に到着した追放者14人は、米国の移民裁判所に迫害される恐れがあると判断され、母国への送還を免れていたという。

だが、ユン氏によると、トランプ政権は抜け道として彼らをガーナに追放している。ガーナ政府は最終的に、彼らを母国に送還すると表明している。

裁判所の書類によると、ガンビア出身のバイセクシュアル(両性愛者)の男性はガーナ当局によって直ちに本国に送還された。保守的なガンビアで同性愛は犯罪とされているため、人目を避けて暮らしているという。

ベンジャミンさんによると、一緒にトーゴに送られたトーゴ人2人は泣きながら「終わりだ、もうおしまいだ」と繰り返しており、その後は身を隠しているという。

ベンジャミンさんと、もう一人の追放者、リベリア出身のエマニュエルさん(仮名)は、ガーナの首都アクラから70キロ離れたブンダセにあるデマ難民キャンプで、軍の監視下に置かれながら2週間以上を過ごしたと語った。そこでは、他の9人の追放者と共に、暑さ、蚊、不衛生な水に苦しめられたという。

ベンジャミンさんとエマニュエルさんはやがて、ガーナ軍にホテルに連れて行くと告げられた。

だが、実際に連れて行かれたのはトーゴとのアフラオ国境検問所だった。そこで「裏口」からトーゴ側に移され、放置された。ガーナ軍によるこの措置にはトーゴの国境警備隊も協力していたという。

エマニュエルさんは、「身分を証明するものを何も持っていないため、今は身を隠している」と語った。

エマニュエルさんとベンジャミンさんはいずれもグリーンカード(永住権)保持者で、米国市民と結婚している。だが、それぞれ詐欺罪で有罪となり服役した後、移民・税関執行局(ICE)の施設に送られた。

国連人権高等弁務官事務所は、ガーナに対し、米国から追放された「ナイジェリア、ガンビア、トーゴ、マリ、リベリア、あるいは拷問を受ける危険性があると信じるに足る十分な根拠があるその他の第三国市民」の母国への送還を停止するよう求めた。

米国務省はAFPに対し、「米国にいてはならない外国人を追放するため、あらゆる適切な選択肢を追求する」と述べた。

トーゴ政府とガーナ政府はこの件についてコメントしていない。(c)AFP

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