【日下部保雄の悠悠閑閑】「愛知県警」ですが……

デスクに置いてあった個人携帯が鳴った。番号はオープンにしているので反射的に出たら「愛知県警ですが……」。なんで愛知県警なんだろう?

 詐欺電話のニュースが毎日のように流れている。その被害額はすさまじく、詐欺組織も会社のように役割分担を明確にして活動している。子を思う親心につけ込み、大金をだまし取るオレオレ詐欺が話題になったが、今では犯罪を取り締まる警察を騙る詐欺が半数近くを占める。

 警察から電話がかかってくれば、善良な市民なら当然驚く。そうして、まんまと口車に乗せられ、大金を送金してしまうのだという。

 他人事だと思っていたある日、携帯電話の呼び出し音が鳴った。知らない番号だなと思いながら電話に出ると、「愛知県警」を名乗る男だった。声の感じでは30歳ぐらいだが、もう少し若いかもしれない。

 この時点で心のアラートが鳴り始める。所属部署、氏名も名乗っていたが、よく覚えていない(早く用件を言ってくれ)。

「愛知県内で起こった犯罪についてですが、何か心当たりはありませんか?」

「ありません!」(あるわけないだろ)

 すると言い方が高圧的になってきた。

「本当に覚えはないんですか!」

「ありません!!」(何を期待しているんだ?)

 忙しい中で相手をしている自分にも、徐々に腹が立ってくる。こちらの周囲の生活音が相手に伝わったのか、少し早口になりながらさらに高圧的に、「重要な話ですから、静かな部屋に移動して……」と、長話に持ち込みたいような口ぶりだ。警報アラートはマックスで鳴り響く。

 この時点でプッツン!「知らないものは知らない!!」と大きな声で電話を切ってしまった。

 あとになって失敗したと思ったのは、電話を録音するか、番号のスクリーンショットを残しておけばよかったということぐらいだ。

 もっとも自称「愛知県警」からの電話番号は記録からきれいさっぱり消えていたし、番号自体が偽装されていたのかもしれない。それ以降、「愛知県警」からも「静岡県警」からも「警視庁」からも電話はかかってこない。

 時間にして30秒もなかったが、自分も詐欺被害の入り口に立っていたのかと思うと、怒りだけでなく何とも気味の悪い時間だった。それとなく周囲に聞いてみると、幸い被害に遭った知人はいなかったが、「知らない番号には出ない」などの対策をしている人は少なくなかった。

 能天気に応答ボタンを押してしまった自分も反省である。皆さんも気をつけて。今度は区役所や病院かもしれない。

自宅の固定電話にも結構かかってきてるんだろうな。怪しい電話は記録を残している。アンケートなどが多いけど、明らかに不審なものも記録されている

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