NY市場サマリー(8日)ドル・利回り上昇、ナスダック2日連続最高値

<為替> ドルが上昇した。ただ、一連の経済指標の悪化やトランプ大統領が連邦準備理事会(FRB)理事にハト派の人物を指名したことなどを背景に、週間では下落の見通しとなった。

ドルは先週発表された予想を下回る雇用統計以降、下落基調にある。住宅市場やサービス部門のデータも、経済減速を示唆している。

トランプ大統領は7日、ミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を空席となるFRB理事に指名すると発表。任期は2026年1月末までと暫定的な役割であっても、トランプ氏が金融緩和を追求する上で、より直接的な道を開く可能性がある。またブルームバーグは7日、FRBのパウエル議長の後任として、ウォラーFRB理事が最有力候補に浮上していると報じた。

市場は9月のFOMCで利下げが行われる確率は89%とみており、年内に計58ベーシスポイント(bp)の利下げが実施されるとの見方を織り込んでいる。

主要通貨に対するドル指数は0.21%上昇の98.19。ただ、週間では約0.5%の下落となる見込み。

ドル/円は0.41%高の147.71円。日銀が7月30─31日に開いた金融政策決定会合では、「早ければ年内にも様子見モードが解除できるかもしれない」との意見が出されていたことが明らかになった。

ユーロは0.09%安の1.1655ドル。

ポンドは0.06%高の1.3451ドル。取引序盤で一時、2週間ぶりの高値1.3458ドルを付けた。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.70%安の11万6429ドルとなった。

NY外為市場:

<債券> 国債利回りが上昇した。市場では米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の行方を見極めようと、経済指標が引き続き注目されている。

先週発表された7月の雇用統計が軟調だったことを受け、今週の国債相場はおおむね不安定。来週は消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)など、FRBの政策に影響を及ぼす可能性のある物価に関連する経済指標が発表される。

CMEフェドウオッチによると、FRBが次回9月の会合で少なくとも0.25%ポイントの利下げを決定する確率は89.4%。1週間前の80.3%から上昇した。JPモルガンは7日付のメモで、9月の会合で0.25%ポイントの利下げが決定されるとの見通しを示している。
FRB当局者の間では、セントルイス連銀のムサレム総裁がこの日、物価と雇用を巡る目標の双方がリスクにさらされているとし、双方のバランスを取る必要があるとの認識を示した。ただ、9月の会合での利下げを支持するかについては言及しなかった。

終盤の取引で10年債利回りは3.9ベーシスポイント(bp)上昇の4.283%。週初からは6.5bp上昇し、週間の上昇幅としては7月上旬以来の大きさとなった。

30年債利回りは4.1bp上昇の4.853%。週間ベースでは3週間ぶりに上昇した。

2年債利回りは2.2bp上昇の3.756%。週初からは5.8bp上昇し、週間ベースの上昇幅としては7月3日までの週以来の大きさとなった。2年債と10年債の利回り格差は52.5bp。

米金融・債券市場:

<株式> 連邦準備理事会(FRB)の新たな人事を背景に年内の利下げ期待が高まる中、ハイテク関連株が上昇した。ナスダック総合(.IXIC), opens new tabは2日連続、過去最高値で取引を終えた。

主要株価3指数も、週間で軒並み上昇した。

週足では、S&Pが2.4%、ダウ工業株30種(.DJI), opens new tabが1.3%、ナスダック総合が3.9%、それぞれ上げた。
アップル(AAPL.O), opens new tabは4.2%高。今週初め、トランプ大統領は、同社が米国内の生産拡大に向け1000億ドルを追加投資すると発表した。
その他の個別銘柄では、米製薬会社ギリアド・サイエンシズ(GILD.O), opens new tabが8.3%高。通期業績見通しの上方修正が好感された。
オンライン旅行会社エクスペディア(EXPE.O), opens new tabは4.1%高。第2・四半期決算は、調整後1株利益が前年同期比21%増の4.24ドルとなり、LSEGがまとめたアナリスト予想平均の4.10ドルを上回った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.37対1の比率で上回った。ナスダックでも1.13対1で値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回った。

米取引所の合算出来高は161億8000万株。直近20営業日の平均は182億7000万株。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相 場は、米国が金地金に関税を適用するとの報道などを背景に金が買われ、続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比37.60ドル(1.09%)高の1オンス=3491.30ドルと、中心限月清算値ベースで最高値を更新した。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米ロ首脳がウクライナ停戦を目指して来週にも会談するとの報に注目が集まる中、横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月9月物の清算値(終値に相当)は、前日と変わらずの1バレル=63.88ドル。週間では5.12%安だった。10月物は0.04ドル安の63.00ドル。

NYMEXエネルギー:

LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります

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