妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】(NEWSポストセブン)

 2024年1月1日、石川県珠洲市仁江町にある妻の実家で被災した石川県警の警察官・大間圭介さん(43)は、裏山の土砂崩れが家を襲い、親族のほか、妻・はる香さん(享年38)と長女の優香ちゃん(享年11)、長男の泰介くん(享年9)、次男の湊介くん(享年3)も命を失った。  一家を失い、金沢市内の自宅で「1人の生活」を続ける大間さんは、三回忌という節目を迎え何を思うのか。 「今年9月、1年半ぶりに珠洲の両親の実家に帰りました。周囲は公費解体が進んで、スカスカになっていて……ここに人が戻ってくるのか、不安になることのほうが多かったですね」(大間さん、以下同)  地震の後には豪雨も重なり、依然復興作業は進んでいない。家族を失い、生まれ育った地元も変わり果てたなかで、大間さんは自分の人生を生きている。 「災害で家族が奪われて、怒りや悲しさ、やるせなさは尽きないけど、その感情の矛先をどこに向けていいかもわからない。やっぱり、自分の人生はあの日に一回終わったのかなという気はしています。  でも、家族が生きたかったはずの人生を生きているワケだから、それを僕が無駄にするわけにはいかない。それが今のモチベーションですね」  優香ちゃんが卒業予定だった小学校からは卒業式に招かれ、卒業証書を受け取った。泰介くんが所属していた少年野球チームの同級生は学年最後の試合を終え、監督からメッセージももらった。 「皆さんが忘れずに悼んでくれていることは本当にありがたいですよね。やっぱり僕の人生は、妻と子供に彩られてきたんです。本当に幸せな思いをさせてもらいました」

 2024年は「フルマラソン完走」を目標に掲げ達成していた大間さんだが、2025年は「具体的に目標は定めていませんでした」と笑う。一方、2026年にはある挑戦をしたいと思っているという。 「ギターと歌で、みんなを喜ばせたいという思いが、漠然とあるんです。学生時代にバンドは組んでいたんですけど、先日、友人からアコースティックギターをもらって、『弾き語りをしたい』と思うようになりました。  学生時代、教員免許を取るときに、老人ホームに行って皆さんとお話ししてすごく喜ばれたことが思い出に残っているんです。僕はおばあちゃんっ子だったので、老人ホームにボランティアで弾き語りをすることをいまは目標にしています」  もともと歌謡曲が好きだった大間さんは、被災後も中島みゆきの『時代』や美空ひばりの『川の流れのように』といった名曲に励まされてきたという。 「今はみんなにわかるように、『世界に一つだけの花』(SMAP)を練習しています。今の職業、警察官とはやっていることが違いますけど、『人に喜んでもらいたい』という思いは一緒なんですよね。  一人で生きるうちに、せっかく一度きりの人生だから、やりたいと思ったことは後悔ないようにチャレンジしたいと思えるようになりました。『純烈』さんのような、地域の人に喜ばれるアーティストに憧れています」 "意外な夢"に聞こえるが——取材した記者は、実は2024年1月に出会った当初から大間さんの優しい表情と端正な顔立ちに注目していた。悲しみと向き合い、今を大切に生きる大間さんの挑戦を応援したい。

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