終わらない「スパイの大量投入」…中国のスパイが世界中で次々と摘発されている理由(ニューズウィーク日本版)

中国共産党は、アメリカなど西側諸国に対して政治的・経済的優位を得るため、スパイを「大量投入」している。専門家らが本誌に語った。 【動画】中国が西側諸国をスパイする方法 しかし、一部のスパイは摘発されてもいる。実際、韓国やノルウェー、アメリカ、ドイツで、中国のスパイと疑われる人物の逮捕や、中国人のスパイ活動をめぐる有罪判決の報道が、ほぼ毎週のように出ている。 台湾のシンクタンク、プロスペクト財団の頼怡忠理事長は「問題は中国による巨大なスパイ機構だ」と指摘する。「中国は多くの人員を送り込み、情報を片っ端から集める。それを中国の機関でつなぎ合わせている」 本誌は在米中国大使館にコメントを求めている。 中国のスパイが逮捕されたという事案は最近急増している。5月だけでも、韓国では中国人2人が在韓米軍基地と民間空港など、計7カ所を撮影したとしてスパイ活動で有罪判決を受けた。韓国で中国のスパイに対する有罪判決が出たのは初だ。 また、ドイツでは中国系ドイツ人の夫婦が、軍事利用され得る機微な科学技術を求めていた匿名の中国情報機関のために活動した疑いで、連邦検察に逮捕された。 2026年5月には、ノルウェーで中国によるスパイ事件が2件発生。両件で中国人が逮捕された。専門家は本誌に対し、少なくとも1件は軍情報機関に関連している可能性があると語った。 アメリカでは、カリフォルニア州アルカディア市長が中国のエージェントであったことを認めた。6月には、中国国営メディアの新華社通信で働いていたアメリカ人ジャーナリストも、外国のエージェントであったことを認めた。

中国は、アメリカと民主主義諸国が国内の結束を強めるうえで苦闘していると考えている。とりわけ、ドナルド・トランプ米大統領の物議を醸す指導力が、従来の西側同盟に亀裂を生んでいることが、中国にとって影響力を拡大するチャンスだと思っているようだ。 しかし、他にも要因はある。頼は、低迷する中国経済への懸念や、中国による最先端技術への国際的なアクセスを制限しようとする動きなどを要因として挙げた。 中国は、対米競争は科学技術力によって決着すると考えており、実際、習近平を含む中国共産党指導部は公の場でそう述べている。 頼は「中国がスパイ活動を増やしているのは間違いない。経済が悪化し、以前のように都合よく技術を入手できなくなっているからだ」と指摘した。 他の専門家も同様の見方を示している。 米ジェームズタウン財団の非常勤フェローのマシュー・ブラジルは「習近平の攻撃的な外交政策の下で、中国の治安機関にはますます重いノルマが課されている」と述べた。 「中国はスパイ活動を強化している。当然、発覚する事案も増えることになる」 中国のスパイ活動は世界規模で展開されており、アフリカやロシアでも活発に行われている。ただし、その実態についてはほとんど知られていない。 中国でのスパイ活動を直接経験した匿名の専門家は、「中国には資源がある。中国は世界中に利害関係を持っているではないか。世界的な超大国には、世界規模のネットワークが必要だ」と述べている。

ニューズウィーク日本版
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