マンガ好き芸人がebookjapan25周年をお祝い!カベポスター浜田、ビスブラ原田、フースーヤ谷口、マユリカ中谷がおすすめしたい1作は?
電子書店・ebookjapanが2025年で25周年を迎えるのを記念して、コミックナタリーでは特集記事を展開。過去にebookjapan内のインタビューに登場したマンガ好き芸人に声をかけ、書店内でぜひ読んでほしい1作品を紹介してもらった。参加者はカベポスター・浜田順平、ビスケットブラザーズ・原田泰雅、フースーヤ・谷口理、マユリカ・中谷の4人。名だたる賞に輝いた完結済みの名作から、1巻が発売されたばかりの注目作まで、ジャンルや年代を問わず多彩な作品がセレクトされている。
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「へうげもの」山田芳裕
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あるときは信長、秀吉、家康に仕えた武士。またあるときは千利休に師事する茶人。そしてまたあるときは物欲の権化。戦国から慶長の世を駆け抜けた実在の人物・古田織部の生き様をユーモラスに描く歴史マンガだ。第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞、第14回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞。2011年にはTVアニメが放送された。
友人とおすすめのマンガ情報を交換していたときに、歴史が好きならぜひと教えてもらったのが「へうげもの」でした。 1ページ目から戦国大名を観る新しい角度に惹き込まれてしまい、25巻を読み終える頃には好きな戦国大名ランキングが大幅に変更されてしまいました。
ほぼ最下位だった明智光秀が僕の今の推しになるほどに。
織田信長に仕える実在の主人公・古田左介が、武功よりも茶器や小物や服装のセンスを重んじながらも、立身出世しながら動乱に飲み込まれていくのですが、最初の3巻でとてつもないパンチを食らいます。本能寺の変の新説を描いているのですが、まず信長の煌びやかさとカッコよさに圧倒され、そして秀吉のどす黒い野心に度肝を抜かれ、明智光秀の無念に涙してしまいます。
歴史の教科書の行間では絶対に読み解くことのできない戦国大名たちの胸の内を覗きながら、知っているはずの歴史を追っているだけなのにその事件に至るまでのサスペンス性にページをめくる手が止まりませんでした。
あと個性豊かなキャラクターデザインとセリフのない時の表情や目つきで、こちらに心の中を読み解かせる描のうまさがたまらないです。
で、これだけでももうめちゃくちゃおもしろいのですが、この作品にはもう1つの顔があります。古田左介を通して当時の生活や文化や価値観をしっかりと、かつ可笑しく体感させてくれるんです。 こんなに茶器や屏風や和室の作りに興味を持たされたのは初めてで、学生時代に資料集を眺めてても絶対に湧かなかった感情です。 「へうげもの」ほど焼物を美しく価値ある物として描いている作品があるんでしょうか。茶室や天守閣へ込められた思い、そしてその名物や名器の価値が政治に大きな影響を与えて、戦国大名たちの心を揺さぶり、謀略や協定に文化人とともに加担していたのかと驚かせてくれます。
あと瀬戸焼、スイカに塩、鉛筆、伊達眼鏡などなど今に続く言葉の由来などもちりばめられていて知識欲をさらに満たしてくれました。
権力を文化が持ってしまう意外性とその怖さと大名の生きづらさに思いを馳せて泣いて笑える作品です。 司馬遼太郎さんや「ゴールデンカムイ」好きの方はぜひおすすめです。
25周年を迎えたebookjapanへのメッセージ
ebookjapanさん25周年おめでとうございます。 37歳の僕が初めてマンガを買ったのが12歳のときですので、マンガ歴はebookjapanさんと同じ25年という事で、我々が出会ったのはもう運命、そして勝手ながら同期とさせていただきます。 改めまして、あの頃からワクワクと感動と笑いを与えてくれ、今では知識欲を満たして、現実逃避までさせてくれるマンガという身近な心の拠り所を、ネットの中にいつでもどこでも持ち運べる形にして提供していただきありがとうございます。 僕は特に地方の営業へ向かう往復の間に利用させてもらってますが、マンガを読むことで、ただの移動が休日に部屋でくつろいでいるかのような時間に変わり、リラックスしたり気持ちを切り替えたりとなくてはならない存在です。
これからも同期として長いお付き合いをよろしくお願いいたします。
ビスケットブラザーズ 原田泰雅
ebookjapanで読むならこの1作!
タイトルを見てなんの本だと思って手にとりました、「税金で買った本」。 なるほど、図書館のことを言ってるんだと思ってから止まらず読み続けました。
図書館のいろんな実情。 税金で買った本だからこそ起きてしまうお客さんとの衝突や、税金を無駄に使ってはいけないからこそ図書館により多くの人に来てほしいという思い。 何より、本を無料で読めるって当たり前ではないということ。
当たり前すぎて考えてなかったけど当たり前を守るって大変だし、当たり前だから大切さを忘れてしまう。そんなことを描いてくれたおかげで、久しぶりに図書館に行きたくなりました。
静かにしなきゃいけない図書館で起きる、静かじゃないはずの事件や騒がしいキャラクターたち。静かで当たり前の場所こそ、目に見えない騒がしさがいっぱいなんだ。
すべての目に見えにくい素晴らしい場所に、すべての当たり前に感謝をしながらこれからも生きていける作品になっています。 ぜひ読んでください。そして図書館に行きましょう。
25周年を迎えたebookjapanへのメッセージ
25周年おめでとうございます。 こんなに長くあったなんて知りませんでした。勉強不足ですみません。 たくさんの本を勧めてくれるおかげで普段なら見ない作品も見ることができますし、知識が増えていく、人生が豊かになっていく、いろんな人が助けられている。それは制作者であったり消費者であったりさまざまです。 本当にありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
フースーヤ 谷口理
ebookjapanで読むならこの1作!
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「鵺の陰陽師」川江康太 ©川江康太/集英社
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幼い頃から、人の怒りや悲しみを察知して集まる“幻妖”が見える少年・夜島学郎。高校入学初日、彼はサブカル好きの幻妖・鵺(ぬえ)と出会う。校内の一室に長らく封印されていたという鵺は、力を貸すので幻妖を倒してほしいと学郎に持ちかけ……。一度はその申し出を断る学郎だったが、幻妖が引き起こした最悪の事態をきっかけに鵺と契約を結ぶ。
©川江康太/集英社
「鵺の陰陽師」は、すべての点数が高すぎるマンガです!!! 週刊少年ジャンプを毎週読んでていて、連載開始から読ませていただいてるのですが、まず、主人公がとにかくカッコいい。普段は、どこか頼りないようなところもあるのだけど、仲間のピンチ、ここぞってときの、カッコよさは半端じゃないです。しかも、バシッとかっこいいセリフも言ってくれるので気持ちがいい。これだけ熱く、まっすぐ、主人公してる主人公の作品はなかなか出会えるものではない。そして、戦闘シーンも大迫力ですし、出てくる技も、少年心をくすぐるような真似したくなるような技で、これまた心打たれます。また、男女敵味方問わず、キャラクターが魅力的も魅力的。今週このキャラが好きだーってなっても、次の週にはいや、こっちのキャラ好きだー!ってなります。日常パートや、コミカルパートな話では独特な言い回しや、独特なノリであっという間にこの作品に興味惹かれます。最高のマンガですし、「アニメ化してほしいマンガランキング2025」も1位を獲ったマンガです。ぜひ!!
25周年を迎えたebookjapanへのメッセージ
ebookjapan25周年おめでとうございます!! ebookjapanさんにはかなりお世話になっています。だって、あの有名作品も、あの話題の小説も、あの流行りマンガも、あの懐かしいマンガも、子供んときに読んだ意味わからんマンガも、ぜーーーんぶあるんですよ!!! ないのは、歴史で習った「魏志倭人伝」だけ!!……と思ったら、「魏志倭人伝」もあるんですよ!(笑) 「魏志倭人伝」もあるんですよ!? 卑弥呼もびっくりしてると思います! ebookjapanさん最高!!! セールがあるのもデカすぎます!!!
マユリカ 中谷
ebookjapanで読むならこの1作!
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「CHANGE THE WORLD」田川とまた
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劇作家を目指す演劇部の中学生・浜野陽太。演劇の全道大会で最優秀賞を果たし、北海道代表として進んだ全国大会で圧倒的な演技力を持つ少女・村岡茉莉に出会う。高校演劇では強力なライバルになるかもしれないと思ってから数カ月後、進学先の高校で彼女と再会し……。演劇で世界を変えようとする少年の熱き青春ストーリーだ。
小学館のアプリ・マンガワンが運営しているYouTubeチャンネル(編集部注:「ウラ漫 ー漫画の裏側密着ー【小学館マンガワン】」)で、連載の準備段階で取材をされている様子を観て、高校演劇という珍しい題材のマンガが始まるんだと知り、連載が始まったら絶対に読もうと思っていました。期待を上回る面白さで、マンガのキャラがお芝居をしているさまをマンガという媒体で表現するという高いハードルを圧倒的な演出力と筆致で描き切っているところと、これから仲間が「ONE PIECE」的に集まっていくんだろうなと想像させるアツさが最高です!
25周年を迎えたebookjapanへのメッセージ
25年!? おめでとうございます! 2000年から!? 紙のマンガが大主流の時代から本当にすごいです! おめでとうございます!