映画「鬼滅の刃 無限城編」違法アップロード大量拡散 2度の警告も10万再生多数
アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」が公開から17日間で興行収入176億円を突破し、異例の早さで歴代興収ランキング10位にランクインした。一方で、映画館で盗撮したとみられる映画本編が海外を中心に大量に拡散されている。公式サイトで2度にわたり警告を発しても歯止めがかからず、10万回以上違法視聴される動画が多数見つかるのが現状だ。
各国言語の字幕付き
「本編映像を盗撮した映像がインターネット上に見られます」
7月25日、鬼滅の刃の公式サイト上に違法アップロードに対する注意喚起が掲載された。日本語、英語、中国語で「匿名の投稿であってもアップロード元は特定可能」として刑事告訴を含む厳正な対処を行うと警告。8月1日にも公式SNSで同様のメッセージを発信した。
しかし違法アップロードは止まる気配がない。XやTikTokに切り抜いた本編映像が投稿されているだけでなく、米国や中国のほか欧州、中東などさまざまな国の動画サイトで全編がアップロードされている。各言語の字幕までつけられており、再生回数が10万を超えるものが複数見つかる状況だ。
違法「正当化」の投稿も
本作の公開はアジア各国で8月、米国では9月と日本よりも遅い。そのため、SNSには「公開日が遅いのが悪い」「日本が先に公開するのは不公平だ」といった違法視聴を正当化する外国語での投稿も散見される。
アニメや漫画などの日本のコンテンツは、違法アップロードに長らく苦しめられている。近年では2022年に映画「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」で、公開10日間で約3千件の違法アップロードがあったと東映が発表。23年には任天堂の「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の全編がツイッター(当時)上にアップロードされる事態も起きた。
被害額は2兆円超
コンテンツ海外流通促進機構(CODA)によると、日本の映画やアニメ、マンガ、ゲームなどが違法アップロードで受けた被害額は、22年の推計で年間約1兆9500億円~2兆2020億円に上るという。被害額は、違法アップロードがなければ購入されていた可能性のある正規品の総額。ネット上の海賊版流通量は金額ベースで被害額の3倍以上になる。
CODAの担当者は「現在はさらに被害額が大きくなっている可能性が高い。日本のコンテンツの人気が高まるにつれて違法アップロードも増えてしまう」と話す。
違法アップロードでも広告収入が得られる仕組みがあるため、日本人協力者を使ったり、来日して映画館で盗撮したりするケースもあるという。CODAは海賊版の削除や刑事告発を支援しているが、いたちごっこの状態が続いている。(桑島浩任)