高市早苗首相「国民民主など野党に協力呼びかけ」年頭記者会見・詳報
高市早苗首相は5日、三重県伊勢市で年頭の記者会見に臨んだ。23日召集の通常国会での2026年度予算案や税制改正など法案成立に向け「国民民主党をはじめとする野党にも協力を呼びかけていく」と述べた。主なやり取りは以下の通り。
【冒頭】
首相就任以来77日がたった。本日、新しい年の始まりに伊勢神宮に参拝し、清れつな空気に触れ改めて身の引き締まる思いがした。長い歴史と固有の文化を誇り、家族や社会が互いに助け合う日本を守り、強く豊かにして次の世代に引き継いでいきたい。
26年度予算案には、未来を見据えた大胆な投資を盛り込んだ。政府の債務残高対GDP(国内総生産)比を着実に低下させる。財政の持続可能性を確保しながら投資すべき分野には大胆に投資していく。これこそが「責任ある積極財政」だ。
成長の肝は危機管理投資だ。半導体や人工知能(AI)、宇宙分野など戦略分野に投資していくことで、安心で希望に満ちた社会を構築していく。
ベビーシッターや家事支援サービスの利用促進に向けた負担軽減に取り組む。標準的な出産費用の自己負担の無償化など妊娠や出産に伴う経済的負担を軽減するための法案を通常国会に提出する。
税や社会保険料で苦しむ中低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りを増やすために、野党にも参加を呼びかけ1月に国民会議を立ち上げる。給付付き税額控除の制度設計を含め、社会保障と税の一体改革について与野党の垣根を越え有識者の英知も集めて議論し、結論を得ていきたい。
通常国会では、26年度予算案や税制改正など各種法案の成立を目指す。日本維新の会との連立合意を基礎としつつ、国民民主をはじめとする野党にも協力を呼びかける。
【質疑】
――高市政権が発足して2カ月余りたった。通常国会ではどのような政策を優先課題に掲げて臨むか。
25年の臨時国会は、国民が直面している物価高への対応を最優先に働いてきた。生活の安全保障については、まずは補正予算の成立という形で国民の皆様との約束を果たすことができたが、まだまだ取り組まなければならないことは多くある。
特に今と未来を生きる国民のために国力を徹底的に強くする。外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、そして人材力だ。そのために、あくまでもどこまでも経済成長を追い求めていく。
25年中に政権として一定の方向性を出すことはできたと考えているが、今後さらに加速させていきたい。高市内閣は始動したばかりであり、ここからはさらにギアを上げて自民党総裁選で掲げた政策、および維新との連立合意で掲げた政策をどんどん具体化させ実現していく。26年はそれに励んでいく。
――衆院議員の定数削減法案は、どのように野党の理解を得ていく考えか。
議員定数削減法案については改めて通常国会で成立に向けて取り組むことになる。議員定数のあり方は民主主義の根幹に関わる問題なので各党・各会派においてしっかりと議論を重ねてもらうことが重要だ。
できるだけ早く議論が進められることを期待しているが、各党・各会派で行われるべき議論の進め方や制度の在り方について首相である私の立場で具体的に申し上げることは控えたい。
――内閣支持率が高い水準で推移している。通常国会での衆院解散は選択肢として考えているか。
25年度補正予算の早期執行を各閣僚に指示している。国民に高市内閣の物価高対策、経済対策の効果を実感してもらうことが大切だ。こうした目の前の課題に懸命に取り組んでいる。
――伊勢神宮への参拝の移動中、安倍晋三元首相の遺影を持った理由や込められた気持ちは。
少し橋の上で広げて両岸をみてもらったが、安倍氏をもう一度伊勢神宮に連れてきてあげたかったと思った。首相としての新年の参拝は9回されていると思う。その他にも16年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)があった。
あの時に主要7カ国(G7)の各国首脳と共に伊勢神宮を参拝された、その時の写真、そして遺影に使っていた写真を持ってきた。ただそれだけのことだが、伊勢神宮に参ったよ、再び安倍氏も一緒に来られたよという気持ちを伝えたかった。感謝の心と共に伝えたかったということだ。
――トランプ米大統領との現時点での会談の日程感についてうかがう。
米国との間では2日の電話協議のように私自身とトランプ氏の間を含めて様々なレベルで緊密に意思疎通を行っている。米国政府からは累次の機会に様々なレベルに対して日米同盟に対する揺るぎないコミットメントが示されてきている。
そのうえで2日の電話協議では、トランプ氏から私に対して訪米のご招待を改めていただいた。26年春の訪問に向けて具体的にきっちりと調整していくということで一致した。
――米国のベネズエラ対する軍事攻撃を政府としてどのように評価するか。
ベネズエラでの事案を受けて、政府としては私の指示のもと、まずは邦人の安全確保を最優先としつつ関係国と緊密に連携して対応にあたっている。ベネズエラ情勢については、政府としてこれまでも一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきた。
日本は従来から自由民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた。政府はこうした一貫した日本の立場に基づいてG7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しながら引き続き邦人保護には万全を期するとともに、ベネズエラにおける民主主義の回復および情勢の安定化に向けた外交努力を進めていく。
――26年秋にアジア太平洋経済協力会議(APEC)が中国で開かれる。中国との関係については。
中国との間では戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくという方針は首相就任以来一貫している。その上で日中間に様々な懸案と課題があるからこそ意思疎通が重要だ。
日本としては中国との様々な対話についてオープンだ。扉を閉ざすようなことはしていない。このような姿勢のもとで、中国側と意思疎通を継続しながら今後も国益の観点から適切に対応を行っていく。
――26年中の安全保障関連3文書の改定を目指している。有識者会議の設置などどのように政府与党内の議論を進める考えか。
3文書を改定した22年と比べてずいぶん大きな変化が起きている。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序への挑戦が勢いを増しているとともに、インド太平洋では中国、北朝鮮のさらなる軍事力の増強、そして中国・ロシア、ロシア・北朝鮮の連携強化などがみられている。
各国はロシアによるウクライナ侵略を教訓にして無人機の大量運用を含む新しい戦い方や長期戦への備えを急いでいる。安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じている。
こうした急速な変化に適切に対応し、強い覚悟を持って日本の独立と平和、国民の皆様の命と暮らしを守り抜くために、3文書の26年中の改定を目指し検討を進めていく。
検討の進め方は、有識者会議など現時点で決まっていることはないが、3文書の具体的な内容について政府部内における議論はすでに始めている。安保環境を踏まえて、具体的かつ現実的な議論を積み上げていく。
――リニア中央新幹線について、JR東海は25年に品川―名古屋間の総工費が7兆円から11兆円に増えると発表した。37年の全線開業を目指す政府として、さらなる支援の見通しはあるか。
リニアは、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成して日本経済をけん引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシー(代替補完機能)の確保を図る国家的見地に立ったプロジェクトだ。
一日も早い全線開業に向けてまずはJR東海にあらゆる努力をお願いする。政府としても課題となっている静岡工区の早期着工に向けてモニタリング会議を通じて状況を継続的に確認する。
――名古屋―大阪間について、JR東海は具体的な開業時期を示していない。名古屋線の開業に向けた方針や期待は。
名古屋―大阪間については国、(三重、奈良、大阪の)三府県、JR東海による連携会議において駅ルートの早期の選定と駅周辺のまちづくりに向けた議論も加速させている。リニアの早期整備に向けた環境を整えて、一日も早い全線開業に向けて関係自治体やJR東海と連携してしっかりと取り組んでいく。