Electronic Artsの買収と非公開化が「約7兆5000億円」規模で進行中との報道。サウジの政府系ファンドも関与か

大手ゲーム会社Electronic Arts(以下、EA)について、買収が進行中との報道がなされている。報道によれば、米国の投資会社Silver Lakeおよび、サウジアラビアのファンドを含む投資家たちによる買収だという。The Wall Street Journalが伝え、複数の海外メディアが取り上げている。

EAは、米国を拠点とするゲーム会社だ。『Battlefield(バトルフィールド)』シリーズを手がけるDICEや、 『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』を手がけるRespawn Entertainmentなどを傘下におさめ、多数の人気作品を送り出してきた。米国でも有数の大手ゲーム会社である。

『Battlefield 6』

そのEAについて、買収および株式非公開化が進行中と報道されている。The Wall Street Journalが伝えた内容によれば、買収額は約500億ドル。日本円にして約7兆5000億円という規模での買収となる。なお買収はレバレッジド・バイアウト(LBO)、すなわち買収する主体が借入によって資金を調達し、買収後にその負債を返していくかたちにて進められているとのこと。今回の買収が実際になされれば、LBOとして記録上最大規模となるそうだ。

買収は複数の投資家らによるグループで進められているとのこと。その中には、米国のプライベート・エクイティ・ ファーム(非公開企業を中心に扱う投資会社)であるSilver Lakeのほか、サウジアラビアの政府系ファンドであるPublic Investment Fund(PIF)も含まれているとされる。

今回の買収報道にあたり、負債の返済義務がつきまとうLBOという手法の高いリスクを各紙指摘している。一方で、買収額の500億ドルはEAの推定市場価格である430億ドルとさほど乖離がない点を、リスク軽減のファクターとして見る向きもある。

また、サウジアラビアは政府が自国ゲーム産業への約5兆円にも及ぶ投資を進めるなど、近年ゲーム事業に対しても活発な動きを見せている(関連記事)。今回の買収への関与が伝えられているPIFは、任天堂の株式を多数保有。その動向が注目されていた。また、PIFのチェアマン(会長)であるサウジアラビア皇太子のMohammed bin Salman氏は、自身の私的財団傘下企業を通じて日本のゲーム会社・SNKの株式の大部分を保有している(関連記事1関連記事2)。報道されたEA買収が実際になされれば、そうしたサウジアラビアによる事業の大きな一手となるだろう。

【UPDATE 2025/9/27 15:57】買収額の日本円換算について、見出しと本文を修正

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