3年で20本が切断…台湾「海底ケーブル」が直面する脅威と中国の影 最前線・沿岸警備隊パトロールに日本メディア初密着【後編】
台湾周辺で通信の要である“海底ケーブルの切断”が相次いでいる。一体、台湾周辺の海で何が起きているのか。その実態を知るため、12月はじめ、JNNは日本メディアとして初めて台湾沿岸警備隊(海巡署)の沿岸パトロールに同行した。 (前編・後編のうち後編) 【写真を見る】3年で20本が切断…台湾「海底ケーブル」が直面する脅威と中国の影 最前線・沿岸警備隊パトロールに日本メディア初密着【後編】 ■突如姿を現したのは・・・ボロボロの不審船 台湾南部・台南の港から沿岸警備隊の巡視艇が出航し、沖合へ向かう。ここは「台湾海峡」―中国と台湾が向き合う、まさに“最前線”。 台湾海峡は波が荒いことで知られ、この日も強風で船は大きく揺れた。1時間ほど撮影を続けていると、船酔いで立っているのもつらくなるほどだ。 パトロールを終え港に戻ると、港では不自然なほどボロボロな船が目の前に現れた。船の外壁は錆びついていて、とても現役の船には見えない。 船体をよく見ると船の前方には「HONG TAI」と表記されている一方、後方には「SHAN MEI」の文字が。カモフラージュのためなのか、船名を掛け替えられるような枠があるようにも見える。 実は、この謎の不審船が台湾に大きな衝撃をもたらした。 ■不審船の目的は・・・「海底ケーブルの切断」 有罪判決も 暗闇の中サーチライトで照らされる不審船。 2025年2月、台南沖で海底ケーブルが敷設されている海域に“不審船がいる”と通報が入り、台湾沿岸警備隊が午前4時に現場へ急行。 船籍は西アフリカ「トーゴ」。船員たちは呼びかけても乗船検査に応じない。 並走すること6時間。夜も明け、台湾沿岸警備隊はようやく不審船に乗り込んだ。 不審船に乗っていたのは8名の中国人。 その後、中国人船長は海底ケーブルを示す地図を保有していたことなどから、「海底ケーブルを故意に切断するために禁止海域で錨を下ろした」として懲役3年の判決を受けた。 これが台湾で初めて「海底ケーブル切断」の有罪判決となった。 ■台湾周辺で相次ぐ海底ケーブル破損 困難極める“故意の証明” 実はこうした不審船の故意による海底ケーブルの切断は台湾周辺で相次いで起きている。台湾沿岸警備隊によると、ここ3年間で少なくとも20本の海底ケーブルが破損した。