参議院選挙2025 富山県:「小麦は食べるな」「ロシアと仲良し」…真偽不明の情報を政党や候補者に聞いて検証してみた : 読売新聞
20日投開票の参院選を巡り、SNSや動画投稿サイトには根拠不明の情報や、事実と異なるものもある。富山選挙区(改選定数1)に出馬し、県内で選挙活動している候補と、その所属する政党に関するネット上の情報を検証した。
小麦は食べるな?
新人の田保智世氏(59)を擁立する参政党を巡っては「『小麦は食べるな』『小麦は毒』と主張している」などの書き込みがみられる。田保氏は、読売新聞の取材に「こうした言説がネット上にある」と困惑する。離党した元共同代表がこうした主張をしていたことが原因とみられる。
参政は公約で「食料自給率100%」を掲げ、政策集には「米の備蓄を優先し、小麦、大豆も順次備蓄を行う」との記載がある。
6月28日に富山市で報道陣の取材に応じた神谷代表は、「元共同代表の離党後、そういう話はしていない」と公式見解ではないと説明。「エビデンスを見ながら体質に合うものを食べるべきだ。『小麦がマイナス』が100%うそではないと思うが言い過ぎだ」と語った。
立憲民主党から推薦?
国民民主党新人の庭田幸恵氏(57)を巡っては、立憲民主党県連との協力体制を巡って事実と異なる情報もあった。
国民民主県連、立民県連、連合富山の3者は6月、参院選に向けた協力で合意したが、庭田氏への関わり方はそれぞれ異なる。国民民主は「公認」、連合は「推薦」、立民は「支援」だ。
SNS上では、庭田氏を「立憲民主党の推薦を受けている」と批判する投稿もあるが、事実と異なる。
立民県連によると、国政選の公認や推薦は党本部が決定する。今回は、庭田氏に推薦を出しておらず、立民は県連レベルでの支援にとどまる。
立民県連の岡部享幹事長は「無所属候補に推薦を出す可能性はあるが、他党の公認候補には基本的に出さない」と説明した。
消費税増税派?
ユーチューブ上には、自民党現職の堂故茂氏(72)を「消費税増税派」とする動画がある。
堂故氏は、読売新聞が参院選の全候補者に実施したアンケートで消費税率について「現状を維持するべきだ」と回答。2日の読売新聞の取材には「今は自発的な賃上げをどう促していくかが大切。物価高による国民の痛みを和らげることに尽きる」と説明。「増税とか言っている場合ではない」と「増税派」を否定した。
動画は自民議員を「財務省のDNAを受け継ぎ、隙あらば増税しようとしている」などとしている。堂故氏を「財務省議員」としているが、財務省と個々の議員の具体的な関係についての言及はない。堂故氏は2013年の初当選以降、財務省の大臣や副大臣、政務官に就いたことはない。
ロシアと仲良し?
新人の坂本洋史氏(54)を擁立する共産党陣営からは「(日本共産党は)ロシアと仲良し」などと主張する動画を否定する声が上がっている。
ロシア外務省が22年に発表した日本人63人が対象の「無期限の入国禁止」リストには、岸田文雄首相(当時)らに加え、共産党の志位和夫委員長(同)が入っていた。日本の外務省は6月30日の取材に「リストから除外された人がいることは把握していない」とした。
共産党も22年2月、ロシアのウクライナ侵略を巡り「断固糾弾する」「軍事作戦を直ちに中止せよ」との声明を出している。上田俊彦・県委員長は「ロシアとの関係について、根拠のない誤解を受けている。武力で他国を侵略する大国主義と共産主義は無縁だ」と語った。
富山選挙区には、政治団体・NHK党新人の佐藤明氏(50)も立候補している。佐藤氏は、NHK党の国政政党への復帰を支援するために出馬したとして、「当選を目指す意思はない。県内で選挙活動はしない」としている。
参院選2025 富山