「朝日にかける大作戦」青学大の原監督が全日本大学駅伝に向けて発令 2日号砲

 今季の学生3大駅伝第2戦、全日本大学駅伝は11月2日、名古屋市熱田神宮西門前スタート、三重・伊勢市伊勢神宮内宮宇治橋前ゴールの8区間106・8キロで行われる。青学大の原晋監督(58)は大会前日の1日、7年ぶり3度目の優勝に向けて「朝日にかける大作戦」を発令した。

 マラソン日本学生記録保持者(2時間6分5秒)でエースで主将の黒田朝日(4年)は補欠登録だが、当日変更でエース区間の7区(17・6キロ)に投入される見込みだ。

 「黒田朝日は必ず快走しますよ。黒田朝日にタスキを渡すまでに、どれだけ踏ん張れるか、が鍵になります。もちろん、黒田朝日ひとりに責任を負わせるわけではなく、全員の走りが大事になります。それに今大会は朝日新聞社さん、テレビ朝日さんなどが主催です。テレビ朝日で生中継されます。大会そのものを盛り上げたい。名付けて『朝日にかける大作戦』です!」。原監督は堂々と話した。

 「黒田朝日は7区、8区には小河原陽琉(2年)を準備しております」と原監督は会見で当日変更のプランも披露した。最長の最終8区(19・7キロ)は、今年1月の箱根駅伝ではルーキーながら10区(23キロ)で歴代2位の1時間8分27秒の好記録で区間賞を獲得した小河原に託す。

 青学大は今年1月の第101回箱根駅伝(1月2、3日)では総合新記録で2年連続8度目の優勝を果たした。年度またぎの大学3大駅伝連勝を狙った今季開幕戦の出雲駅伝(10月13日、島根・出雲市=6区間45・1キロ)では、期待の2年生の2区・折田壮太、3区・飯田翔大(かいと)が苦戦して4区終了時点で、まさかの関東勢最下位の11位。5区の塩出翔太、6区の黒田朝日の4年生が貫禄の連続区間賞で7位まで巻き返したが、3大駅伝では13年箱根の8位以来、12年ぶりに低い順位に沈んだ。

 出雲駅伝に向けて、原監督は「ばけばけ大作戦」を発令。島根を舞台にしたNHK朝ドラ「ばけばけ」と進化を意味する「化ける」がかけられていたが「2年生に化けてほしかったが、化けませんでした。20点でしたね」と原監督は厳しい表情で話した。その上で「出雲の失敗を糧に成長してほしい」と期待した。出雲駅伝で大学駅伝の洗礼を浴びた飯田は6区に登録された。前回3区の折田は全日本大学駅伝には出場せず、翌週のハーフマラソンで箱根駅伝のメンバー入りに向けてアピールを狙う。

 出雲路は借りは伊勢路、そして、箱根路で返す。青学大は、まずは伊勢路で「朝日にかける大作戦」の大成功を期す。

 今大会は前年覇者で今季開幕の出雲駅伝でも連覇し、昨季からの3大駅伝で4戦3勝の強さを見せる国学院大が優勝争いの中心になるだろう。エース山口智規(4年)、スーパールーキー鈴木琉胤(るい)、「山の名探偵」工藤慎作(3年)を中心に出雲駅伝2位と健闘した早大、出雲駅伝で全6区間を3~5位にまとめて3位となった創価大、全日本大学駅伝で最多の16勝を誇る駒大も有力な優勝候補。出雲駅伝6位の城西大、同7位の青学大、同10位の中大は出雲路から巻き返して優勝争いに加わる力を持つ。

 ◇青学大・原晋監督発令の大作戦シリーズと結果◇

13年箱根駅伝 Z大作戦(エース出岐雄大を切り札としてアンカーに起用。アルファベットの最後のZが由来)8位

14年箱根駅伝 S大作戦(9、10区に世羅高出身の藤川拓也、竹内一輝を並べて勝負。世羅のSが由来)5位

15年箱根駅伝 ワクワク大作戦(原監督「初優勝できるかもしれない。ワクワクしている」。大作戦が初めて全国的に認知された)優勝

15年出雲駅伝 青トレ大作戦(中野ジェームズ修トレーナーの指導による体幹トレーニングの効果をアピール)優勝

15年全日本大学駅伝 あっぱれ大爆走大作戦(原監督「会見で司会者に急に振られて即興で考えた」。準備不足がたたり敗戦)2位

16年箱根駅伝 ハッピー大作戦(原監督「選手、スタッフ、監督、コーチ、OB、ファン全員がハッピーになるレースをします」)優勝

16年出雲駅伝 神ってるぞ青山大作戦(広島県出身の原監督がプロ野球・広島の緒方孝市監督が発した流行語をヒントに命名)優勝

16年全日本大学駅伝 エビフライ大作戦(原監督「(開催地の)名古屋と言えばエビフリャー。頭から尻尾まで全部おいしい」)優勝

17年箱根駅伝 サンキュー大作戦(3連覇&3冠を目指す。原監督となって9度目の出場。感謝の気持ちで臨む)優勝

17年出雲駅伝 陸王大作戦(原監督が出演したTBS系ドラマ「陸王」の番組宣伝? フジテレビ系放送の出雲では相性が悪く敗戦)2位

17年全日本大学駅伝 青山祭大作戦(学園祭シーズン。「打ち上げ花火をドンと上げたい」と意気込むも不発)3位

18年箱根駅伝 ハーモニー大作戦(混戦必至だが、指揮者を自任する原監督は「美しいハーモニーを奏でることが出来れば勝てる」)優勝

18年出雲駅伝 ヨロシク大作戦(出雲「4」勝目を狙う。「6」区間の総合力で勝負。ポイントは「4」区の吉田圭太。「9」度目の出雲路に臨む)優勝

18年全日本大学駅伝 メラメラ大作戦(原監督「出雲駅伝を勝ったが、チーム全員満足していない。メラメラ燃えています」)優勝

19年箱根駅伝 ゴーゴー大作戦(原監督「アチチ、アチ、燃えてるんだろうか! 箱根5連覇に向けて郷ひろみさんのように燃えています」。しかし、不完全燃焼で惜敗)2位

19年出雲駅伝 出てこい!駅伝男大作戦(原監督「レースで練習以上の力を出せる駅伝男が出てきてほしい」)5位

19年全日本大学駅伝 私(青学大)失敗しないので大作戦(今大会を放送するテレビ朝日系人気ドラマの主演・米倉涼子の決めゼリフ)2位

20年箱根駅伝 やっぱり大作戦(原監督「やっぱり青学大は強かった、と言わせたい」。宣言通りにV奪回)優勝

20年出雲駅伝 ※新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会中止

20年全日本大学駅伝 コロナに負けるな!大作戦(原監督「選手、監督、大会関係者、ファン全員でコロナに勝とう!」)4位

21年箱根駅伝 絆大作戦(原監督「未曽有のシーズンの箱根駅伝では駅伝の原点である絆を大切して戦いたい」)4位

21年出雲駅伝 結(むすび)大作戦(原監督「縁結びの神様として名高い出雲神社からスタートするレースに団結して臨む。コロナ禍が早く終結することを願う」)2位

21年全日本大学駅伝 男前大作戦(原監督「青学大のイケメン(男前)ランナーが『男だろ!』のかけ声で力を発揮する駒大の前でレースを進める積極策で優勝狙う」)2位

22年箱根駅伝 パワフル大作戦(原監督「選手、マネジャー、スタッフの『力』を結集してパワフルに戦います」)優勝

22年出雲駅伝 パチパチ大作戦(原監督「まだコロナ禍の影響で大声の応援は難しいですが、すべての学生ランナーにパチパチと大きな拍手を送っていただきたい」)4位

22年全日本大学駅伝 プライド大作戦(前年度の箱根駅伝王者のプライドをかけて臨む)3位

22年箱根駅伝 ピース大作戦(原監督「世界中が平和になることを願う。平和であってこそ箱根駅伝が行われることに感謝)3位

23年出雲駅伝 イット!大作戦(5年ぶりの一等賞を狙う。出雲駅伝を放送するフジテレビ系のニュース番組「Live News イット!」の番宣も兼ねる)5位

23年全日本大学駅伝 名古屋大作戦(原監督「序盤の名古屋エリアで勝負!)2位

24年箱根駅伝 負けてたまるか!大作戦(絶対王者の駒大にチーム一丸で強い気持ちで挑む)優勝

24年出雲駅伝 かっとばせ!!大作戦(原監督「ドジャースの大谷翔平に負けずに大学駅伝も盛り上げていきます」)3位

24年全日本大学駅伝 イーゴ大作戦(ワシをモチーフにした青学大の公式マスコット「イーゴ」から。原監督いわく「いいゴールを目指す」というダジャレもかかっている)3位

25年箱根駅伝 あいたいね大作戦(当時、闘病中だった故・皆渡星七(みなわたり・せな)さんへの思いを込める)優勝

25年出雲駅伝 ばけばけ大作戦(島根県を舞台とした朝ドラにちなむ。進化を意味する「化ける」の意味も持つ)7位

25年全日本大学駅伝 朝日にかける大作戦(エースの黒田朝日にタスキを託すまでの粘りが鍵。主催の朝日新聞、生中継するテレビ朝日への敬意も込める)?

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