大阪都構想「区割り」急ぐ維新 市民の関心高く 来春知事選と同日の住民投票前提で懸念も
大阪市を廃止し複数の特別区に再編する大阪都構想を巡り、大阪維新の会が特別区の境界線を引く「区割り」の議論を急いでいる。市民の関心が高い区割りは制度案最大の焦点で、27日の会合では新たに2つの7区案などを提示。吉村洋文代表(大阪府知事)が目指す3度目の住民投票と来春知事選の同日実施には、年内の制度案取りまとめが必要とされるが、「期限ありき」の議論には党内から懸念も漏れる。
維新が作成し、21日の市内選出議員の会合で示した区割り案は5案。制度設計を担う大阪府市の法定協議会における議論を踏まえ、4区と8区でそれぞれ2案作り、現在の行政区を維持した24区案もある。
4区案は、4~7つの行政区を合区して1つの特別区を構成する。利点として、人口や財政の区間格差が生じにくいほか、規模のメリットが最大で、庁舎や人員などの行政コストを抑制できるとされる。
4区案の①は令和2年の2回目の住民投票で否決された区割りと同じ。党内では「一度否決された区割りと同じ案でいいのか」との声もある。②は①をベースに人口バランスなどを考慮し、港、東成、住吉の3区を別の特別区に組み入れた。
2~4つの行政区を合区した8区案は、1区あたりの人口を中核市並みの30万人程度とし、効率的な行政運営が可能になる。人口や財政の均衡化を考慮した4区案に対し、8区案は過去の合区・分区などの歴史的経緯を踏まえ、各区の地域特性を重視した。それによって、ニーズに応じた政策を集中的に実施しやすいことも利点とされる。
ただ、ある市内選出の議員は「複数の行政区にまたがる事業や、今後のまちづくりの計画などは考慮せずに合区した印象だ」と不満を隠さない。
24区案は、現在の行政区名が継承される可能性があり「住民に受け入れられやすい」との見方がある。一方で、4区案などと比べてコストが大幅に増える上、「細分化された特別区では窓口業務しか担えないのではないか」との意見も出た。
維新は12月の法定協での制度案取りまとめを視野に8月中に区割り案を絞り込みたい考えだが、ある市議は「疑問点を細かく詰めて修正する時間がない」と語った。
新たに7区案
維新は27日、市内選出の地方議員と国会議員による会合を開いた。特別区の区割りについて、新たに議員が発案した7区案と8区案が2案ずつ示され、検討する区割り案は計9案となった。
関係者によると、7区案は地域特性や交通網などを考慮したという。
会合後、記者団の取材に応じた大阪市議団の竹下隆幹事長は、市内選出議員を対象に区割り案のアンケートを行い、次回会合で絞り込む考えを示した。竹下氏は「できるだけ多くの意見を取り入れたい」と述べた。
公明、自民は反対姿勢鮮明
大阪府市両議会で大阪都構想に反対する公明党や自民党など大阪維新の会以外の会派は、制度設計を担う法定協議会に参加していない。府市両議会に加え、タウンミーティング(対話集会)やSNSでの発信を通じて存在感を示したい考えだ。住民投票と来春の統一地方選の同日実施が取り沙汰される中、露出が減ることへの危機感もある。
25日夜、大阪市東住吉区の区民ホールで公明市議団が開いた対話集会には、市民ら約300人が参加した。
パネルディスカッションで公明市議は、3度目の住民投票に向けて議論を進める維新を念頭に「(過去)2回の住民投票で否決されたことを真摯(しんし)に受け止めなければならない」と批判した。
対話集会は9月まで開かれる予定。市議団の西徳人幹事長は「都構想反対の流れをつくっていく場にしたい」と訴える。
都構想に反対する市議会各会派は、特別委員会などで問題点を追及する構えだが、特別委開催の見通しは立っていない。ある市議は「議論が進む中で、支援者からみれば『何をやっているのか』となる。危機感は当然ある」と吐露する。
大阪都構想をテーマに公明党大阪市議団が開いた対話集会=25日午後、大阪市東住吉区国政で自民党は副首都関連法の制定に関わったが、自民市議らはSNSを通じ「副首都になるために大阪市を廃止する必要はない」と投稿するなどして、都構想反対の姿勢を鮮明にしている。自民市議団の森山禎久(よしひさ)幹事長は「都構想の制度案が具体化して説明できる段階になれば、反対意見をさらに打ち出していきたい」と強調した。
連合大阪は、都構想の制度案が市民に与えるメリットやデメリットなどを検証する専従チームを設置しており、今後発信を強化する方針だ。(木ノ下めぐみ、入沢亮輔、前原彩希)