相場展望10月20日号 米国株: AI・半導体関連が中心になった相場に警鐘 日本株: 「高市トレード」で株高も、買いの勢いに陰りがうかがえる
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/16、NYダウ▲301ドル安、45,952ドル 2)10/17、NYダウ+238ドル高、46,190ドル
【前回は】相場展望10月16日号 米国株: 金価格は最高値更新続く、トランプ氏のTACOは相変わらず 日本株: 高市・首相誕生の可能性高まる ⇒ 「高市トレード」再燃へ
●2.米国株 : 人工知能(AI)・半導体関連が中心になった相場に警鐘
1)人工知能(AI)・半導体関連が中心になった相場に警鐘 ・人工知能と半導体関連が米国株高を牽引してきたが、牽引期間も長くなり、疲れがみえてきた。 ・NYダウの上昇角度の低下がみられる。 ・過去、米国株を主導したテスラも勢いが減少しつつある。マスクCEOの、ナチス式敬礼に欧州が落胆し、かつての購入者層からも反発をされ、欧州での販売が低調をきたしている。米国でも補助金が削減される、燃費の良い自動車に人気が集まるなどテスラ車販売が苦戦し始めている。
・エヌビディアも中国取引に暗雲がみえ、高成長に慎重な見方が増えてきた。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/16、上海総合+4高、3,916 2)10/17、上海総合▲76安、3,839
●2.中国1~9月の貿易統計は前年同期比+4%増、米国向け▲27%減、EU・東南アジア向けが拡大(日経新聞)
1)米国が中国に対し+100%の追加関税を課すと脅しても、中国製品に対する米国以外の市場での強固な需要を考えれば、中国企業への影響は限定的だろう。
●3.中国国防部、軍の制服組トップら9人を共産党籍剥奪処分、極めて異例(NHK)
1)何衛東・中央軍事委員会副主席や軍の元幹部ら合わせて9人が共産党の党籍剥奪処分を受けた。 2)中国軍の高官を巡って、国防相の経験者2人が汚職など相次いで失脚するなど異例の事態が続いている。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/16、日経平均+605円高、48,277円 2)10/17、日経平均▲695円安、47,582円
●2.日本株 : 「高市トレード」で株高も、買いの勢いに陰りがうかがえる
1)日経平均の寄与度上位5位 (1)10/16、日経平均+605円高、上位5銘柄で上げ幅の96.0%を占めた ・日経平均上位寄与度5位 寄与度 株価上昇高 ソフトバンクG +381円高 +1,885円高 東京エレクトロン +119 +1,180 アドバンテスト + 33 +125 TDK +26 +51 フジクラ +22 +640 合計 +581
・日経平均の上昇寄与度が高い数銘柄に支えられて、日経平均が上昇している。
(2)10/17、日経平均▲695円安、 ・日経平均マイナス上位寄与5銘柄で▲423円安、下げ幅の60.86%を占めた マイナス寄与 下げ幅 アドバンテスト ▲167円安 ▲620円安 ソフトバンクG ▲162 ▲800 ファーストリテイ ▲48 ▲590 リクルート ▲23 ▲230 日東電工 ▲23 ▲135
合計 ▲423
・日経平均の下落は、値下がり寄与度が高い上位5銘柄の下落に引きずられている。
2)恐怖指数(VI)が高水準、過熱感を示す20を超え、10/17に35.53 ・日経・恐怖指数(VI)の推移 9/2 9/17 10/1 10/14 10/15 10/16 10/17 日経VI 23.7 24.17 25.66 32.81 31.36 30.27 35.53
・特に、10/17は日経平均が▲695円安と大幅下落にもかかわらず、急伸した。
・なお、米国S&P・VIXの推移からみると、日経VIの高さが目立つ 9/2 9/17 10/1 10/14 10/15 10/16 10/17 S&PVI 17.17 15.72 16.29 20.81 20.64 25.31 20.78
・米国S&PVIも上昇を続け、最近に20を超えた。ただ、日経平均の方が米国株と比べ、恐怖指数が高いことは特筆される。
3)新高値・安値、株価変動の状況からは、買いの勢いに陰りがうかがえる ・新高値・安値、値上がり・下がり銘柄数の推移 10/6 10/14 10/15 10/16 10/17 新高値銘柄数 143 10 22 44 18 新安値 8 48 9 13 26 値上がり 1,469 264 1,409 858 433 値下がり 119 1,326 179 681 1,131
日経平均/円 +2,175 ▲1,241 +825 +605 ▲695
・少数の一部の値がさ株の株価上昇に引っ張られて,日経平均が上昇する相場が続いている。10/16は日経平均が+605円高と大幅上昇しているにも関わらず、値上がり銘柄数に対して、値下がり銘柄数が79.3%もある。10/17は日経平均は▲695円安と大幅下落したが、値上がり銘柄数に対して値下がり銘柄数は2.61倍の多さとなっていることに着目したい。市場の基盤にヒビが入り始めている点に、注意喚起のベルが鳴っている可能性がある。
4)200日移動平均線も、乖離率が20%を超えている ・200日移動平均線の推移 10/1 10/14 10/15 10/16 10/17 200日移動平均 13.71 18.62 20.58 21.97 20.80
・200日移動平均線も高値圏の20を超えて過熱感を示す。
5)円相場は上昇し、10/17に149円台に突入 ・日本・米国の10年債金利差が縮小。 日本銀行は政策金利の引上げ観測。 米国はFRBの利下げ観測。
と両国の金利差の縮小に連れて、円高へと進行している。
・10年国債利回りの推移 10/06 10/09 10/16 10/17 日本10年債利回り 1.688% 1.704 1.669 1.637 米国10年債利回り 4.152 4.138 3.975 4.013
利回り差 2.464 2.434 2.306 2.376
円相場 150.35円 153.07 150.43 149.77
6)海外投機筋の動き次第で、日経平均は大きく上下に揺さぶられる ・10/17、海外投機筋は先物を売ったため、日経平均は▲695円安。
・大きく買ったら・大きく売るといった海外投機筋の活躍は、相変わらず続いている。10/20は海外投機筋は「高市・新首相誕生が確実」と大きく買ってくるだろう。
7)自民党と日本維新の会との政策協議の進捗状況 (1)災害時の首都中枢機能のバックアップを担う「副首都構想」。 (2)社会保険料の引き下げを含む「社会保障改革」。 (3)「国会議員の定数1割削減」。 自民党は(1)(2)(3)を受け入れる方針。 (4)食料品の消費税廃止は継続審議。 (5)企業・団体献金の廃止は、高市総裁の任期である2027年9月までに実現を目指す。
(6)維新は今回、閣僚を出さず、閣外協力にとどめる。遠藤・国会対策委員長を総理大臣補佐官に兼任で起用。
8)本日、株価は「自民・維新の連立合意」を受け、急反発 ・海外短期筋は前日の下落を受け、強気で先物を使った買いを入れてくると予想する。 ・相場全体にも「連立のお祝儀相場」となるだろう。
・ただ、テクニカル分析では、株式市場の過熱に対する警戒感があるため、深入りには慎重さをもって対処することも必要と思われる。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・3086 Jフロント 業績回復期待 ・6501 日立 業績堅調
・6506 安川電 業績回復期待