香港・啓徳のコロナ禍時の隔離施設、ユースホステルとして開業
啓徳(Kai Tak)に建設されていた新型コロナウイルスの隔離施設を改修したユースホステル「啓航1331(Runway 1331)」が7月13日にソフトオープンした。最安値で1泊200香港ドルに設定。同施設を開発した博盛文旅は、ユースホステルだけでなく、文化創造のエリアとして開発する考えだ。
9月にグランドオープンを予定しているユースホステル「啓航1331(Runway 1331)」の客室
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香港政府はコロナ拡大期間中、陽性者を隔離するためプレハブを使った隔離施設を竹●湾(Penny's Bay)、元朗(Yuen Long)など数カ所に建設した。コロナ禍が開け使われなくなったものの再活用について、香港政府は、上環(Sheung Wan)にあるPMQなどと同じように民間の力を活用する方法を模索していた。既に隔離施設のうちいくつかは、オフィスビル、マンションなどとして使われることが決まっている。
敷地面積11.5ヘクタールの広さを誇る啓徳の隔離施設について、香港政府は2024年12月20日に入札概要を発表し、その後、一般競争入札を行った。入札に勝ったのは中国本土の中國旅遊集団傘下の企業「博盛文旅」。香港やシンガポール、中国でホテルを運営している帝盛酒店集団(Dorsett Hospitality International)も博盛文旅の運営に参画する。賃貸期間は5年。
部屋数は250室で1人、2人、3人用のタイプがあり、部屋の面積は14.61平方メートル~48.21平方メートル。特徴的なのは1人に対して1つのトイレがあることで、3人用の部屋は3つのトイレがある。最低価格は200香港ドルで、将来的には月単位での契約も可能にする。その場合は1人部屋の価格は3,000香港ドル~6,000香港ドルとする計画。全部屋の50%を40歳未満に割り当て、残りを40歳以上に充てる。ペットの同伴も可能とした。
部屋は、ソファ、ベッド、テレビ、エアコン、テーブル、ダイニングテーブルなどの基本的なものは備え付けているほか、壁の一部には、香港の離島や夜景の絵を描いた。施設の外側には、同所が飛行機にまつわるエリアだったということから、退役したプロペラ機の実機をユースホステルの象徴として置いている。
場所は旧啓徳空港(Kai Tak Airport)の滑走路の南東側の末端。そのため、ショッピングモール「AIRSIDE」と啓航1331を結ぶシャトルバスを運行する計画もある。
グランドオープンは9月を予定している。将来的には、女性専用のホステルを検討するとしており、最終的には第4期まで開発を進め、最大で2000室、5000人が宿泊できるように段階的に拡張していく。
博盛文旅は、ユースホステルを中心に「藝術文化孵化村」という芸術や文化を創造、発信するエリアとして開発していく考えで、ユースホステルの部屋のうち100室~200室に入居する場合は資格審査があるものの、芸術、文化、スポーツに携わる人向けに無料で提供する。「才能あるアーティストに利用してほしい」という考えから、文化区、芸術区、体育区、園芸区の4つのゾーンを設ける。野外劇場と屋内演芸場、文化交流施設などを創設する予定で、ワークショップ、展示会、芸術祭、カーニバル、バザーなどが行えるようにするほか、休憩所やバスケットコートも整備していくという。
●=竹かんむりに高。