IPOが近いOpenAIの財務状況、今どんな感じなの?

AJ Dellinger - GIZMODO US[原文]岩田リョウコ / GIZMODOライター )
Photo: Creative Salim/ Shutterstock.com

黒字なの?赤字なの?

AIブームに警鐘を鳴らすテック評論家として知られるEd Zitron氏が、OpenAIの財務書類を入手したとのこと。これによると、OpenAIは現在までに報じられていたよりもはるかに激しいペースで、資金を溶かし続けているのだそうです。

とはいえ、Financial TimesがZitron氏の語るOpenAIの財務状況を検証したところでは、彼が言うほどに深刻な状況ではなさそうではありますが。

財務状況はどんな感じ?

Zitron氏によると、OpenAIは2025年には約385億ドル(約6兆1600億円)の赤字を出していて、2024年時点での赤字が50億9000万ドル(約8144億円)だったのと比べると、現金の流出ペースは大幅に膨らんでいる模様。

一方、2024年の売上は37億ドル(約5920億円)だったのに対し、2025年には130億7000万ドル(約2兆912億円)へと急伸。

ただし、売上が伸びてはいるものの、1兆ドル企業になるという約束を果たすにはまだ苦戦しているとの見方も。ちなみに以前、OpenAIは2025年に年換算で200億ドルの売上を達成したと発表していました。

ん?計算が合わない?

この整合性のあやふやな財務状況は、おそらくビジネス上で都合のよい数字の見せ方によるもの。OpenAIの決算には、そういったものがたくさん出てきます。

Zitron氏が指摘するように、2025年の純損失は実際には603億5000万ドル(約約9兆6560億円)でしたが、そのうち約178億7000万ドル(約2兆8592億円)を「非支配持分に帰属する純損失」として処理しています。

また、非営利組織から営利企業への転換に関連した費用415億5000万ドル(約6兆6480億円)の損失も計上しています。この転換決定がきっかけで、共同創業者だったイーロン・マスクに訴訟を起こされてしまったわけですが、結局イーロンは裁判で負けています。

Financial Timesの説明によると、米国の会計ルールのもとでは、OpenAIが営利企業へ転換した際に投資家たちが転換型の利益請求権を受け取り、その権利が帳簿上で負債として計上されたため、こうした損失が生じたそうです。

Financial Timesはまた、OpenAIの財務状況に詳しいとみられる人物の話も引用し、一回限りの費用とみなすべきものをすべて取り除けば、2025年の損失は80億ドル(約1兆2800億円)ほどだと結論づけています。

これは好意的な見方と言えますが、それでもものすごいペースの現金の流出を説明できるわけではありません。

Zitron氏によると、OpenAIは2025年にMicrosoftへ172億ドル(約2兆7520億円)の費用を支払っていて、そのうちおよそ104億5000万ドル(約1兆6720億円)は「研究開発費」として特別に割り当てられたものとのこと。これは新しいモデルのトレーニングに関連した経費だとみられます。

膨らむ赤字とIPO

いずれにしても、OpenAIの赤字は膨らみ続けている状態のようです。

売上は伸びてはいますが、事業を拡大しモデルをトレーニングするために、湯水のように使っている膨大な額の現金に見合うペースで伸びているのかどうかは、はっきりしません

ここで忘れてはいけないのが、OpenAIは書類上、データセンターの増設に1兆ドル(約160兆円)を投じると表明した企業だということ。ただし、あくまで書類上の計画であって、実際にはまだ1兆ドルを投じたわけではありません。

つまり、売上を非常に速いペースで伸ばしながらも、膨らみ続ける支出にはまるで追いついていない、という状況にあってもおかしくないのです。

OpenAIは今年後半に上場する予定なので、近いうちにちゃんとした財務状況を見られるようになるでしょう。でも、市場がどう評価するかという点では、赤字や売上はあまり関係ないかもしれません。

これは、先日IPOを果たしたSpaceXの例からも見て取れます。なにしろ、100万人を火星に送るなんていう実現がいつになるかわからない構想を将来の収益源として当て込んでいる同社の株価だって、鰻登りの状態なのですから。

つまり今の市場は、実際に出ている利益よりも、これから出ると期待される利益の方を高く評価する世界ということなのです。なので、きっとOpenAIの現在の赤字も大した問題ではないってことになるのでしょう。

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