米企業決算、2021年以来の好業績の見込み-関税や政府組織閉鎖でも

Farah Elbahrawy

  • 決算発表済みのS&P500構成企業、85%が予想上回る利益

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の集計によると、これまでに7-9月(第3四半期)決算を発表したS&P500種株価指数構成企業のうち、約85%が市場予想を上回る利益を計上した。2021年以来の高水準となる見込みだ。

  決算シーズンはまだ序盤で、発表した企業の割合は時価総額ベースでS&P500構成企業の5分の1未満に過ぎない。それでも、関税や不透明な経済情勢の中にもかかわらず、米国企業の利益が堅調なことを示している。

  S&P500構成企業の多くは予想を上回る業績をあげる傾向にあるが、今回の決算シーズンは特に際立っている。堅調な収益と人工知能(AI)への持続的投資の兆しが、米中貿易摩擦や米政府機関閉鎖といった株式市場への脅威を相殺している。

  ドゥブラフコ・ラコスブハス氏らJPモルガン・チェースのストラテジストはリポートで「米国企業は、堅調なAI投資サイクル、継続的な赤字財政支出、また、依然として底堅い消費に支えられ、優れた収益成長を継続するだろう」と述べた。

  ラコスブハス氏は、S&P500構成企業が約12%の利益成長を再び達成すると予測している。市場予想平均は前年同期比7.7%増だ。

  さまざまな分野から、好材料が舞い込んでいる。銀行業界では、シティグループモルガン・スタンレーが予想を上回った。一方、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は、好調なトラック販売と関税の緩和を受け、通期利益見通しを引き上げたことで株価が急伸した。清涼飲料大手コカ・コーラも、価格上昇にもかかわらず予想を上回る業績だった。

  ステート・ストリート・グローバル・マーケッツの株式調査責任者マリヤ・ベイトメーン氏は、米政府の閉鎖による経済指標の空白期間も、予想を上回る企業業績が市場の信頼感の源泉となり得ると述べた。

  ベイトメーン氏はリポートで「米国企業の健全性について強気の発言をするのはおそらく時期尚早」としたうえで、「大企業は現在の規制の不確実性を乗り切ることに楽観的であり、将来の投資や設備投資について自信を持って語っている」と記した。

HSBCホールディングスのチーフ・マルチアセット・ストラテジスト、マックス・ケトナー氏は、非テック企業の収益予想の上振れ幅が「コロナ禍以降で最高」となる可能性があるとみている

原題:Early US Earnings Point to Best Corporate Results in Four Years(抜粋)

— 取材協力 Subrat Patnaik

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