レジェンドAV男優・58歳田淵正浩、明かした鼻呼吸の利点と脱力の極意「これができないとプロじゃない」

 ベテランAV男優の田淵正浩(58)は、1万人以上の女優と共演し、業界では「レジェンド男優」と評されている。田淵へのインタビュー企画の「後編」では、田淵が36年間の活動で見い出した健康法などを明かしている。(取材・文=一木悠造)

 田淵は、最初に今も昔も変わらないAV男優の人数を明かした。

「およそ70~80人の男優で回っていますね。別に誰かが決めているわけじゃないんですけど、ちょうど良い収まりがこの人数なんですね」

 そして、長く続けられた一つの理由は、「頑張らなかったから」と表現した。

「一瞬、『ちょっと頑張ろうかな』と思った時はあったんですけど、それでもトップにはなれなかったです。僕は自己分析して、器用でもないしかっこよくもないから、自分なりに考えて『2番手、3番手でいこう』と決めたんです。お呼びがかかるかどうかっていうのは、その人のスキルもあるんですけど、それ以上に大事なのは、女優、監督、スタッフに人間的に愛されるかどうかってことなんです。いくらテクニックがあっても、『こいつ、礼儀がないし、性格悪いし、気に入らないから嫌だ』っていうシチュエーションってあるじゃないですか。表に出る役者側なんで、特に監督に好かれてるかどうかってのは、すごく大事ですね。監督に好かれていると、少々スキルがなくても現場に呼ばれますから」

 撮影は、朝から深夜までになることが多い。その場合、最低でも3回の絡みがあるという。撮影を時間割に沿ってリードする役目も担う。体力的にもハードで、田淵は27歳で体に異変を感じたという。

「男優を始めて5年ぐらいの時でした。『あれ、なんかしんどいな』と感じるようになったんです。先輩の加藤鷹さん、チョコボール向井さんは1日6回ぐらいやってるのに、『何で俺は1発でこんなにしんどいんだ』と自問自答していました」

 状況を変えたい思いで、さまざまな健康本を読む中で田淵には「快医学」を紹介する本が刺さったという。

「鍼灸師の瓜生良介さんが書かれていて、私はすぐに瓜生さんの治療院を訪ねました。そこでお世話になり、しばらくすると助手を務めるようにもなりました」

 田淵がはまったのは、とにかく「鼻で息をすること」だった。

「これを始めて、人生が一変しちゃいました。特に精力にはダイレクトに影響します。現場でも持続力が目に見えてアップしました。瓜生さんからも教わったことですが、鼻呼吸をして口をつぐむと頭が涼しくなり、あんまり汗をかかないんですよ。脳を冷やして、首から下を温める作用もあります。一方で、口呼吸って首から下を冷ましてしまう。あそこも冷えちゃうから、機能が落ちちゃうんです。ちなみに長距離を走る選手も終盤で苦しくなるまでは、鼻呼吸ですよね」

 その上で、田淵が気をつけているのは「食事と睡眠」だという。

「筋力トレーニングはこの3年ぐらい本格的にやっていますけど、やっぱり食事のコントロールが大事です。午前中は可能な限り排せつをすると決めているので、便意が高まるコーヒーやトマトジュースを飲んでいます。そして、体を軽く動かした後、正午ぐらいからゆっくり食べて、夜8時までは制限なく好きなものを食べています。その後は食べずに、早い時は9時ぐらいには寝ています。睡眠時も鼻呼吸をしたいので、枕を高くすることはありません。高いとアゴが必要以上に引かれ、喉の内部が圧迫され、気道が狭くなって口が開きますから」

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