地元・尚志が帝京長岡撃破!! 2戦連続のPK戦制してベスト4進出、仲村監督「この福島県で必ず優勝したい」
令和7年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技の準々決勝で、尚志高(福島1)が帝京長岡高(新潟)をPK戦の末に下し、ベスト4進出を果たした。8月1日の準決勝では、神村学園高(鹿児島)と対戦する。
尚志にとっては、攻撃力の充実度と、決定力の課題の両方が見られた試合だった。試合は、立ち上がりから尚志のペースで進んだ。DF松澤琉真(3年=FC東京U-15深川)による持ち出しからの対角フィードや、両サイドバックの縦フィードでハイサイドに侵略。
前半13分、右アタッカーのFW臼井蒼悟(3年=栃木サッカークラブ U-15)から左DF木村心貴(3年=セレッソ大阪 和歌山Uー15)へサイドチェンジすると、中央へ斜めに入れたパスを受けたFW根木翔大(3年=フットボールクラブフレスカ神戸)がシュート。こぼれ球に左アタッカーのMF田上真大(3年=シュートJrユースFC)が突っ込んだが、相手に防がれた。20分には、田上が右から入れたクロスボールに臼井が飛び込んだが、これも得点はできなかった。一方の帝京長岡は、ロングパスによる押し返しを図ったが、ボールロストが目立ち、リズムを作れず。前半のシュート数は尚志7本に対し、帝京長岡はわずかに1本と少なかった。
試合の流れが変わったのは、ハーフタイムだった。帝京長岡は、FW上田十輝(3年=千里丘FC)とMF樋口汐音(3年=SQUARE富山FC U-15)を投入。後半2分には、巧みな球さばきを見せていたMF中澤昊介(3年=アイリスFC住吉)のミドルシュートがクロスバーを直撃。反撃の狼煙を上げた。樋口が最終ラインからボールをピックアップして前方へ散らしていく役割を果たすようになり、前半よりも重厚な攻撃で押し返すことが可能になった。
これにより、後半は打ち合いの展開に変化した。6分、尚志は左から田上がボールを運び、左まで流れた臼井を経由。ラストパスに根木が飛び込んだが、合わなかった。11分には左CKのこぼれ球をMF角虎一(3年=ジェファフットボールクラブ U-15)が狙ったが、ゴール右に外れた。帝京長岡は、12分にDF桑原脩斗(3年=北海道コンサドーレ札幌U-15)の横パスから右DF吉田龍悟(2年=ジェファフットボールクラブ U‐15)がアーリークロスを送り、上田がヘディングシュートを放ったが、GK正面。終盤は、互いに速攻が増えた。尚志は、28分に臼井のドリブルからクロスを根木が合わせたがゴールを捉えず。帝京長岡は、中澤の縦パスを受けた樋口のラストパスから上田がゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定で得点にはならなかった。
結局、両チームとも得点を奪えず、0-0のままPK戦に突入。先攻の帝京長岡は、6人目でキッカーがゴールマウス上に外して失敗。尚志は6人目までミスなく成功し、PK戦6-5で競り勝った。尚志は、2試合連続のPK戦勝利となったが、仲村浩二監督は「ボールを大事にして、シュートで終わるところはできた。ゴールを取れたか取れなかったかに焦点が絞れればいい。このサッカーが明日もできればいい」と合格点を与えた。主力ボランチであるMF小曽納奏(3年=鹿島アントラーズノルテJrユース)が負傷、MF阿部大翔(3年=アトラエンセFC平塚)が3回戦で2度の警告を受けて出場停止と苦しい台所事情の中、MF迫田悠聖(2年=1FC川越水上公園)が攻撃の組み立て役を担い、角が守備面で活躍を見せたことについて、指揮官は「思った以上に良かった。もう(主力)交代だな」とニンマリ。チームの総合力勝負に手ごたえを示した。
全国大会の成績は、ベスト4が最高。準決勝を勝てば、新たな景色が見られる。仲村監督は「この福島県で(インターハイ男子サッカーを2024年から固定開催で)4年間やると決まってから、僕らは、この福島県で必ず優勝したい、1回は優勝したいと目標を立てて努力して来ている。ここは、福島なんだ!というところを見せたい。昨日も(カムチャツカ半島の)地震だとか津波(警報)だとか、すごく嫌な記憶がまた戻ってきちゃったけど、そういうのも払拭するような元気を高校生からもらってほしい」と地域を盛り上げる初優勝にかける気持ちを明かした。神村学園との準決勝では、際どい勝負を物にしてきた勢いで、新たな歴史を作りに行く。