中国が宇宙船の巨大レールガン打ち上げ計画を進行中?宇宙飛行士を“撃ち込む”時代が来るかも(スペースチャンネル)
かつて夢物語とされた「宇宙船のレールガン打ち上げ」が、中国の野心的なプロジェクトとして進められています。もし、有人宇宙船を電磁式レールガンで地球の大気圏外へ“発射”するという計画が順調に進めば、宇宙飛行の常識が根底から覆されるかもしれません。
■大量の燃料を使った打ち上げからの脱却
レールガンによる宇宙船発射 出典:スペースチャンネル(AI)従来のロケット打ち上げでは、大量の燃料を積んで機体を垂直に打ち上げる必要がありました。しかしが、この方法はロケットが搭載する燃料の重さも持ち上げる必要があり、非常に非効率です。そこで中国では、「打ち上げ装置を地上に残し、宇宙船本体は可能な限り軽量化する」という新たな発想に注目しています。
現在、中国の宇宙開発を担う中国航天科技集団は、長さ2kmの実験用レールガン試作機を建設し、様々な実験を行っています。この施設では、真空チューブの中に敷設されたリニアレールで、すでに時速1000km(マッハ0.8)の射出実験に成功しているといいます。
最終的には、発射された宇宙船はその勢いを利用し、空中でロケットエンジンを点火して軌道速度(秒速7.8km)まで自力で加速し、地球周回軌道に到達する設計と考えられます。この仕組みにより、1回の打ち上げあたりのコストは従来のロケットに比べて大幅に低下。もし実現できれば、1kgあたり1万円以下まで削減できる可能性があり、世界のどのロケット打ち上げシステムより安価なサービスとなるでしょう。
■技術的な壁は巨大、それでも前に進む
レールガンによる宇宙船発射 出典:スペースチャンネル(AI)しかし、有人宇宙船を加速するには大きな課題が山積みの状況です。
- 加速度(G)制御:人間が安全に耐えられる加速力に収める必要がある。
- 振動・衝撃:射出時の機体構造の耐久性が問われる。
- 真空チューブの維持:史上最大級の密閉空間を真空に保つための巨大ポンプが必要。
- 冷却システム:超伝導電磁石を極低温に保つ必要がある。
- エネルギー問題:原子力発電レベルの電力を一瞬で放出するための蓄電・放電技術が求められる。
特にエネルギー面では、秒速1ギガジュールという桁違いの出力が必要となり、抜本的なエネルギーシステムの性能向上が求められています。
過去にはアメリカもNASAや米海軍を中心に、レールガン型宇宙打ち上げシステムの開発を試みましたが、技術的困難や資金不足で断念した経緯があります。もし、この計画が実現すれば、地球低軌道へのアクセスはロケットではなく“電磁射出"という新たな常識に置き換わる可能性があります。まるでSFのような光景ですが、みなさんは搭乗した宇宙船をレールガンで射出されてみたいですか?ぜひコメントお待ちしています。
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