ロシア軍が二日連続で大規模な長距離ドローン・ミサイル攻撃、ウクライナ各地に過去最大367飛来(JSF)

JSF軍事/生き物ライター
ウクライナ空軍司令部発表より2025年5月25日迎撃戦闘の撃墜および排除した戦果数

 2025年5月25日にロシア軍は過去最大となる長距離ドローン・ミサイル攻撃をウクライナ全土に行い、総合計で367空中目標(ドローン298機と弾道/巡航ミサイル69発)が飛来しています。昨日の2025年5月24日の攻撃の264飛来に続いて二日連続の大規模攻撃となりました。なお24日は首都キーウに攻撃の大部分が集中していましたが、25日はウクライナ全土に攻撃が分散しています。

 また今回の5月25日の攻撃では約1カ月ぶりに巡航ミサイルの使用がありました。前回の巡航ミサイルの使用は2025年4月24日の攻撃(ドローン145機と弾道/巡航ミサイル70発)になります。ドローンは数が多くても安価な囮無人機が大量に混じっているので、本当の意味での「大規模攻撃」は纏まった数のミサイルを使用したこれらの事例になるでしょう。

2025年5月25日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部

  • イスカンデルM/KN-23弾道ミサイル×9飛来0撃墜
  • Kh-101/カリブル巡航ミサイル×55飛来45撃墜
  • Kh-22超音速巡航ミサイル×1飛来0撃墜
  • Kh-59/69空対地ミサイル×4飛来2排除(0撃墜+2未到達)
  • 敵性無人機×298飛来266排除(139撃墜+127未到達)
ウクライナ空軍司令部より2025年5月25日迎撃戦闘の撃墜数(※無人機×127は未到達数)

高速ミサイル×10(弾道ミサイル×9、超音速巡航ミサイル×1)

  • イスカンデルM/KN-23弾道ミサイル×9飛来0撃墜
  • Kh-22超音速巡航ミサイル×1飛来0撃墜  ※本来は対艦ミサイル

 超音速以上を発揮する高速目標であるイスカンデルM/KN-23弾道ミサイルとKh-22超音速巡航ミサイルは合計10発が飛来するも撃墜は無し。高速目標を迎撃可能なパトリオット防空システムが配備されていない地域を主に狙われたと見られます。なおKh-22は本来はTu-22M3爆撃機から発射する空対艦ミサイルであり、対地攻撃転用での使用です。

低速ミサイル×59(巡航ミサイル×55、空対地ミサイル×4)

  • Kh-101/カリブル巡航ミサイル×55飛来45撃墜 ※長距離型
  • Kh-59/69空対地ミサイル×4飛来0撃墜2未到達

 亜音速で飛翔する低速目標である巡航ミサイルは合計59飛来、2未到達を除いて計算すると迎撃率79%になります。なおKh-101は戦略爆撃機(Tu-95MSおよびTu-160)からの空中発射、カリブルは黒海艦隊からの艦船発射、Kh-59/69は戦闘機からの空中発射です。

低速ドローン×298(自爆無人機および囮無人機)

  • 敵性無人機×298飛来266排除(139撃墜+127未到達)

 プロペラで推進する長距離ドローンは合計298飛来ですが安価な囮無人機が大量に混じっています。127未到達のほとんどは燃料を使い果たした囮無人機と見られます。この127未到達を除いて計算すると迎撃率81%になります。なお自爆無人機はシャヘド136とシャヘド131、囮無人機はガーベラとパロディと見られますが、最近はこれらとは異なる別種の無人機が混じりだした可能性も指摘されています。

 2025年5月25日の迎撃戦闘は低速目標(亜音速巡航ミサイルと長距離ドローン)に対しては迎撃率約80%だったので、前日24日の低速目標迎撃率96%に比べるとウクライナ防空部隊はやや苦戦していますが、この数字ならば迎撃能力は機能しており破綻している様子はありません(但し発表数値が事実ならば)。弾道ミサイルなどの高速目標については、高性能なパトリオット防空システムが交戦可能な位置に就いているかどうかが迎撃率に直結しているので、迎撃率の数字だけでは防空部隊に問題が出たかどうかは言えません。

地下鉄の駅に避難するキーウ市民、現地時間午前3時

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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