開幕前に不適合ドライバーを変更 スコッティ・シェフラーはそれでも勝った
◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(18日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7626yd(パー71)
サンデーバックナインを迎えたとき、スコッティ・シェフラーはジョン・ラーム(スペイン)に首位で並ばれていた。それが、終わってみれば後続とは5打差。世界ランキング1位の実力に陰りはない。2022年と24年の「マスターズ」以来となるメジャー3勝目。大会直前に愛用クラブにトラブルがあっても、動じなかった。
大会を主催する全米プロゴルフ協会(PGAオブ・アメリカ)は開幕2日前、1Wのヘッドに関する適合検査を実施した。全米ゴルフ協会(USGA)によるランダムテストの対象となったフィールドの3分の1の選手の中にはシェフラーの名前もあり、ヘッドの反発係数が基準値を超えていたという。
ゴルフクラブは球数を多く打つことで規定にある適合ラインを超え、競技で使用不可とされることがある。「検査はPGAツアーでも定期的に行われる。僕のドライバーは今週、不適合になった。1年以上使っていたから、いつかはそうなると思っていた。練習量を考えると、ここまで長く持ってくれて運が良かった」。メジャーのティオフを目前に控えた段階で、テーラーメイドの「Qi10 ドライバー」を急きょスペアにスイッチしていた。
この最終ラウンドの前半、1Wに限らずショットが左に曲がりがちだったのは「僕の(スイングの)せいだと思うよ」と笑い飛ばす。バックナインに入ったところで修正が効き、10番(パー5)でラームを振り切るバーディ。第1打をグリーン右手前のバンカーに運んだ14番からの2連続バーディで勝負を“終わらせた”。最終18番をボギーにしても「71」で通算11アンダー。4日間合計11ホールでボギー以上を記録し、6回のバウンスバックに成功する力強さを発揮してワナメーカートロフィーを掲げた。
2022年2月の「WMフェニックスオープン」で初優勝を飾ってから3年94日でPGAツアー通算15勝目を挙げた。このハイペースを上回るのは1950年以降でタイガー・ウッズ(3年32日)、ジャック・ニクラス(3年45日)しかいない。
現在の不動の世界一は「ゴルフの好きなところは一人で練習に打ち込めるところだ」と真摯に自分の職と向き合う。今週の話題でもあったクラブ検査についても、よりクリアに、よりフェアに実施すべきという意見。「やるならばもっと正しく厳格にやったほうがいい。必要あらば毎週やったっていい。やらない理由の方がない」と語った。
このクエイルホロークラブでプレーするのは今回が初めて。当地で毎年行われてきたPGAツアー「ウェルズファーゴ選手権」(現トゥルーイスト選手権)を昨年、欠場したのはメレディス夫人の第一子出産を控えていたから。第一子の長男ベネットちゃんを抱き上げ、父として初めてつかんだメジャータイトルを喜んだ。(ノースカロライナ州シャーロット/桂川洋一)