臆測を呼んだ香港セレブのバラバラ殺人、「根本原因」は金銭 検察が公判で指摘

香港で撮影されたアビー・チョイさんの写真=23年2月11日/AP

香港(CNN) 香港の社交界で華やかに活躍していた蔡天鳳(アビー・チョイ)さんが2023年に切断遺体で発見された事件で、殺人罪に問われた元夫とその家族の公判が30日に始まった。検察は法廷で、家族間の金銭トラブルが犯行の「根本的な原因」だったとの見解を示した。

チョイさんはファッションイベントで芸能界の大物と交流していたほか、SNSでも多数のフォロワーを抱えていた。23年に起きた凄惨(せいさん)な事件は国際金融都市の香港に大きな衝撃を与え、世界各地で大きく報じられた。

警察は当時、見つかったチョイさんの遺体は一部だけだと発表。社交界で人気を集めていたチョイさんがなぜこれほど残虐な形で命を奪われたのか、メディアの報道は過熱し、SNS上でも臆測が飛び交った。

チョイさんの殺害を巡り公判にかけられているのは、元夫のアレックス・クォン被告と兄のアンソニー・クォン被告、父親のクォン・カウ被告。3人はいずれも30日、正式に無罪を主張した。

検察は冒頭陳述で、チョイさんと元夫の家族の間には相当な経済格差があったと指摘。金銭をめぐる対立や、高級マンションを売却するチョイさんの計画をきっかけに、家族ぐるみで殺害を企てるに至ったと指摘した。

検察が男性8人、女性1人からなる陪審に説明したところによると、「事件の根本的な原因は金銭にあったとみられる」という。

殺害時にはチョイさんはアレックス・クォン被告と離婚済みで、新たなパートナーは「極めて裕福な」家庭の出身だった。

チェさんは4児の母親で、インスタグラムに多くのフォロワーを抱えていた/IG/@xxabbyc

だが、チョイさんは「裕福ではなかった」(検察)とされるクォン家と交流を続け、経済的な援助をしていた。

検察によると、チョイさんは離婚後もクォン家に「手厚い生活費」を渡し続けた。その中には、クォン・カウ被告名義の6000万香港ドル(現在のレートで約12億円)のマンションも含まれる。元夫との間に生まれた2人の子どもの世話を一家が手伝っていたことも支援の理由とされる。

検察によると、元警官のクォン・カウ被告とチョイさんは、一時は良好な間柄だったものの、22年に関係が悪化した。きっかけは、チョイさんが改装された豪華マンションを売却し、元夫の家族を子どもたちの通学に適した郊外へ転居させようとしたことだった。

殺害までの数カ月間で対立は急速に深まった。検察によると、クォン・カウ被告はチョイさんと絶縁する結果となり、一度など暴行を加えようとした疑いもある。

チョイさんの側でも怒りを募らせ、かつての義父を「詐欺師」「恩知らず」と呼んでいた。クォン家が共謀して、子どもたちが自分に反感を抱くよう仕向けるのではないかとの懸念も強まった。

検察によると、クォン・カウ被告は最終的にチョイさんの殺害を企てた。

「チョイさんが死ねば、マンションは自分名義のままで、また戻って暮らせると考えた」(検察)

警察の以前の説明によると、チョイさんの行方が分からなくなったのは2023年2月21日。チョイさんは4児の母親で、このうち2人は元夫のアレックス・クォン被告との間にできた子どもだった。

チョイさんの遺体の未発見部分を捜索するため、埋め立て地を掘り起こす警察=2023年2月28日/Tyrone Siu/Reuters

行方不明になった3日後、香港の大埔地区にある民家から、チョイさんのものとみられる遺体の一部が見つかった。警察は現場でスライサーや電動のこぎり、衣類も発見した。

クォン家の3人はその後まもなく逮捕された。

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