欧州委員長、米国の相互関税実行なら「強力な報復策用いる」考え示す

Jorge Valero

  • 米、2日にも相互関税発表-EUの付加価値税など標的の恐れも
  • 「交渉による解決目指す」方針-市場規模、テック規制など強み強調

欧州連合(EU)は1日、トランプ米大統領が2日に発表する予定のいわゆる「相互関税」をEUに対し実行した場合、米国に対して幅広い選択肢で報復する考えを示した。

  EUの執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は欧州議会での演説で、「必ずしも報復したいわけではない」とした上で、「必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」と呼びかけた。

  米国は2日にも、世界の通商相手に対し、広範囲にわたる関税を課す意向だ。トランプ氏はこの措置により、関税だけでなく、国内規制やEUの付加価値税(VAT)を含む各国の課税方法など、米国にとって不公平とされる非関税障壁も是正されると主張している。EU側は、VATは公平な税で、国内製品と輸入品に平等に適用されると主張している。

  フランスなど複数の加盟国は、米国からの関税に対抗し、EUの「反威圧措置」(ACI)の適用を検討するよう呼びかけている。貿易や経済措置を強圧的に行使する国に対して報復するための枠組みで、対象国の貿易やサービス、特定の知的財産権、域内への直接投資、公共調達へのアクセスを制限することができる。

  フォンデアライエン氏は、相互関税が発表された後は「交渉による解決」を目指すと述べた。相互関税は、米国への輸入自動車に対する25%の追加関税、鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税と同時に発効する見通しだ。EUはすでに、最大260億ユーロ(約4兆2000億円)相当の米国製品に対する対抗措置を準備している。

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  フォンデアライエン氏は、米大手テック企業と欧州ビジネスの関連性に触れ、欧州の強みは貿易だけでなく技術にもあると強調した。欧州委員会は、さまざまな法的手段によって約1000億ユーロ規模のEU市場での政府契約や、デジタル広告販売へのアクセスを制限することもでき、報復措置の一環として、こうした大手テック企業を標的にする可能性もある。

  フォンデアライエン氏は「貿易からテクノロジー、市場規模に至るまで、欧州には多くのカードがある。この強みは、断固とした対抗措置を取る用意の上に築かれたものだ。あらゆる手段がテーブルの上にある」と述べた。

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