F1カナダGP 決勝直前情報: タイヤ戦略考と天気、12台変動のペナ適用後グリッド
日本時間6月15日(日)27時にスタートを迎える2025年F1第10戦カナダGP。ここでは、スターティング・グリッド、予選結果からの変動、そして予想されるタイヤ戦略や気象条件についてまとめる。
グリッド:角田は最後尾、ペナ続出で12台変動
12名のドライバーのグリッドが変動。前戦スペインGPに続き、予選結果とスターティンググリッドに大きな差異が生じた。
予選9番手のアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)は、Q1でカルロス・サインツ(ウィリアムズ)の走行を妨害したとして、3グリッド降格を受け12番グリッドに着く。
予選11番手の角田裕毅(レッドブル)は釈明むなしく、FP3で赤旗中に他車を追い越したとして10グリッド降格を受け、最後尾からスタートする。前戦スペインGPではピットレーンスタートから7つ順位を上げてみせただけに、今回も追い上げの展開が期待される。
ラッセルとフェルスタッペン、最前列で火花
Courtesy Of Red Bull Content Pool
予選後のドライバープレスカンファレンスに出席する2番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とポールポジションのジョージ・ラッセル(メルセデス)、2025年6月14日(土) F1カナダGP(ジル・ビルヌーブ・サーキット)
最前列に並ぶのは、前戦スペインGPで衝突したジョージ・ラッセル(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だ。この接触により、フェルスタッペンのペナルティポイントは、出場停止まであと1点に迫った。
ポールポジションを獲得したラッセルは予選後、「僕の方はまだライセンスに余裕があるから、それを活かさなきゃね」と冗談交じりにコメントした。一方のフェルスタッペンは、「本当にムカつく」と発言。関連する質問には一切答えなかった。
ピアストリ、3番手もリード拡大の好機
選手権リーダーのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は3番手。タイトル争いの最大のライバルである僚友ランド・ノリスは7番手にとどまった。予選ではポール争いに絡めなかったものの、リードを広げる絶好のチャンスと言える。
フランコ・コラピント(アルピーヌ)には、ジャック・ドゥーハンからシートを引き継いで以降、初の大きなチャンスが巡ってきた。予選12番手ながらも、角田とハジャーが降格したことで、決勝は10番手スタート。この順位を守りきれば今季初ポイントとなる。
以下は暫定スターティンググリッド。正式版との差異が発生した場合は更新される。なお、各ドライバーの予選結果からの変動も併せて記載する。
Pos No Driver Team Qualifying 1 63 G.ラッセル メルセデス 1(-) 2 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 2(-) 3 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 3(-) 4 12 A.K.アントネッリ メルセデス 4(-) 5 44 L.ハミルトン フェラーリ 5(-) 6 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 6(-) 7 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 7(-) 8 16 C.ルクレール フェラーリ 8(-) 9 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 10(+1) 10 43 F.コラピント アルピーヌ・ルノー 12(+2) 11 27 N.ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 13(+2) 12 6 I.ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 9(-3) 13 87 O.ベアマン ハース・フェラーリ 14(+1) 14 31 E.オコン ハース・フェラーリ 15(+1) 15 5 G.ボルトレート ザウバー・フェラーリ 16(+1) 16 55 C.サインツ ウィリアムズ・メルセデス 17(+1) 17 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 18(+1) 18 30 L.ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 19(+1) 19 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 20(+1) 20 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 11(-9)レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。
カナダGPでは、今季初導入となるC6コンパウンドが投入され、例年よりも1段階柔らかいタイヤレンジが採用された。これは、従来のC3〜C5の組み合わせでは1ストップ戦略が主流となる恐れがあったためで、戦略の幅を広げる狙いがあった。
ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは、「ミディアムとハードを組み合わせた2ストップがもっとも有力」と予想する。
ピレリのシミュレーションによれば、最速の戦略は「ミディアム→ハード→ハード」の2ストップ。1回目のピットインは15〜21周目、2回目は39〜45周目が推奨されており、ザウバー勢を除く全チームがこの戦略を採ることができる。
一方、代替戦略として現実味があるのは「ミディアム→ハード→ミディアム」だが、フェラーリ、マクラーレン、レーシング・ブルズ、ハース、そして角田はミディアムタイヤを1セットしか温存していないため、この選択肢は取れない。
ソフトタイヤについてはレース向きとは見なされておらず、現実的に考えられるのは「ソフト→ハード→ハード」の組み合わせとなる。これは、第1スティントで猛プッシュし、アンダーカットを狙う上では有効な選択肢となり得る。
なお、1ストップ戦略についてイゾラは「理論的には可能だが、ここはオーバーテイクが可能なサーキットであるため、現実的ではないかもしれない」と述べている。
Courtesy Of Haas
F1カナダGP決勝レース序盤に角田裕毅(RB)と並走するニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)-2024年6月9日ジル・ビルヌーブ・サーキットjpg
ジェンソン・バトンがわずか1周のリードラップで劇的な勝利を収めた2011年大会に象徴されるように、カナダGPはこれまでたびたび予測不能な大雨がレース展開にスパイスを加えてきた。
だが、今年は雨の予報はなく、ドライコンディションでのレースが見込まれている。
その一方で、週末を通して最も暑い一日となる可能性があり、タイヤのデグラデーションを加速させるおそれがある。そのため、状況によっては当初の2ストップ戦略から3ストップに切り替えるチームが現れることも考えられる。