「歌だけ歌っていろ、は職業差別だ」 世良公則氏が決意 参院選・出馬表明詳報(下)

記者会見で参院選出馬について説明する世良公則氏=1日午後、大阪市中央区(彦野公太朗撮影)

1日の記者会見で参院選(20日投開票)に立候補する意向を明らかにしたミュージシャンの世良公則氏(69)は、日本が直面する課題と政策を念頭に「ポジショントークではなく、本当に日本のためになるのかを自問自答しながら、この戦いを勝ち抜く」と決意を述べた。

きっかけは湾岸戦争

――政党からのオファーはあったか

「いくつかお誘いをいただいたが、その組織のカラーの中ではばかられることも僕はSNS(交流サイト)で発信している。それを覆すつもりはない。無所属でスタートし、何のしがらみもなく自分の思ったことを言い、起こしたい行動を起こしていくことから始めようと思った」

――なぜ政治の道へ

「1991年ごろに米ロサンゼルスでレコーディングをした際、湾岸戦争が起きていた。一緒に仕事をしているミュージシャンやスタッフの兄弟や親戚、友人が戦争に行っていて、スタジオで戦争や政権の話を熱く語っていた。僕も国内のことに関心を持ち、SNSが普及する中で、新型コロナウイルス禍の前くらいから、問題を発信するようになった」

「『ミュージシャンは黙って歌だけ歌っていればいいんだよ』という風潮に反発を感じる。職業差別だ。どんな職業であれ、国民である以上は政治や社会に何かを感じ、発信することははばかるべきではない」

「僕も今年で70歳になる。このタイミングで国政に送り出していただければ、任期中に何か一つでも一歩ずつ前進させ、この国のために尽くしたいと。自分を世に送り出してくれた大阪でもう一度、政治の世界に出ていくという道を選んだ」

――自民党の高市早苗前経済安全保障担当相と(昨年9月に)対談していた。当選後に自民党に合流する可能性は

「これからボランティアに協力をお願いし、体制を整えていく中でそこまでは考えていない」

「SNSでまず波を」

「今の日本には右も左もない。ポジションでトークしたり何かを決めたりではなく、本当に日本のためになるのか、次の世代にこのまま渡していいのかということを自問自答しながら、党派を超えて共感できる方は共感して一緒に進めたい。違うと思えば納得するまで激論を交わしたい」

「日本のロックバンドとして初めてアルバムで1位を取ったが、例えば100人が『いいね』と言ってくれたら、その倍は『あんなのロックじゃない』と非難された。自分が信じて進む道でも風当たりは強いと思うし、反対の意見を持つ方もたくさんいると思う。とにかくこの戦いを勝ち抜いて一歩踏み出すことに懸けている」

「街頭演説で選挙戦を展開していくことはかなり難しい。でもSNSがすごく発達してきて、選挙に今まで関心のなかった若い方に広めていけたらなと思っている。波がまず立たないと。このままでいいはずがないという思いを一人でも多くの人に持って動いていただく」

――議員になった後の活動は

「議員の活動に影響を及ぼさない限り、音楽活動を続けるつもりだ。選挙期間中に入っているライブ活動はキャンセルをさせていただいた。その後の予定については、今はそのままにしている」

世良氏が出馬する大阪選挙区(改選数4)では次の17人も立候補を予定している。

自民党新人の柳本顕氏(51)▽立憲民主党新人の橋口玲氏(56)▽公明党現職の杉久武氏(49)▽日本維新の会新人の岡崎太氏(57)▽同、佐々木理江氏(42)▽共産党新人の清水忠史氏(57)▽国民民主党新人の渡辺莉央氏(30)▽れいわ新選組新人の椛田健吾氏(44)▽参政党新人の宮出千慧氏(40)▽日本保守党新人の正木真希氏(46)▽無所属新人の東修平氏(36)▽政治団体「新党くにもり」新人の稲垣秀哉氏(56)▽諸派新人の上妻敬二氏(67)▽政治団体「日本改革党」新人の瀬戸弘幸氏(73)▽政治団体「チームみらい」新人の平理沙子氏(34)▽政治団体「NHK党」新人の武内隆氏(62)▽政治団体「無所属連合」新人の橋口和矢氏(55)

外国人の不動産取得は「安全保障上とても危惧」と世良公則氏

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