「カルデナスの表情が…」井上尚弥の“エグいボディ”が直撃した瞬間…井上本人から指名「撮ってもらえませんか?」密着カメラマンが見た“現地ウラ側”(Number Web)

――今回ラスベガス入りするにあたって、山口さんは災難に見舞われたそうですね。 山口裕朗(以下、山口) 災難というか、完全に私のミスなんです。現地時間4月29日に到着予定だったはずが、ESTA申請(渡航ビザ免除の事前申請)の支払いが済んでおらず、行きの飛行機を逃してしまった。急きょ翌日の便を取り直して、航空費が倍かかってしまいました。それだけならまだよかったんですが……。 ――到着が1日遅れたことで問題が発生したんですか?  山口 4月22日の後楽園ホールの興行で、幼なじみの山口聖矢選手の応援に来ていた尚弥選手が「30日に最後のジムワークがあるんで、山口さん、撮ってもらえませんか?」と言ってくれたんですよ。トップランクのジムで公開練習じゃないジムワークを撮影できるなんて、またとない機会じゃないですか。「これはたまらないな」と思って、楽しみすぎて新しいレンズまで買っちゃいました。でも到着が遅れたことで、その撮影ができなくなってしまったんです。 ――1日遅れでラスベガスに到着したとき、空港で井上選手や真吾トレーナーと遭遇したんですよね。 山口 そうなんですよ。たまたまご家族のお迎えに来ていたタイミングだったみたいです。尚弥選手には「何やってんすか!」と明るく声をかけてもらいました。

――その時点で試合まであと4日。井上選手の雰囲気はどうでしたか?  山口 空港で会ったときは、表情からも若干いつもより緊張感があるような印象でした。やっぱりラスベガスでのビッグマッチの直前ですから。自分も街に降り立ってみて「これはすごいな」と感じました。メインのラスベガス・ストリップの至るところで、「怪物」の文字が入った尚弥選手の映像が流れているんですよ。MGMグランドにも尚弥選手のビジュアルがずっと掲示されていました。おそらく本人もそれを目の当たりにして、現地の期待度を肌で感じて……。緊張や重圧とは違うかもしれませんが、「いっちょ見せてやるぜ」という気持ちになっていたんじゃないかと思います。 ――会見、計量と井上選手とカルデナスを撮影していて、両者のコンディションについて感じたところはありますか。 山口 尚弥選手はいい意味でいつも通りというか、変わったところは見受けられませんでしたね。フィジカル的にも脂肪がきっちり落ちて、すばらしい仕上がりだったと思います。カルデナスは初めて生で見ましたが、「順調に仕上げてきたんだろうな」と感じました。自分を信じている、という印象ですかね。ふたりともいい表情をしていましたよ。


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――リングサイドで試合を撮影された山口さんですが、あそこに入れると決まったのはいつだったんでしょうか。 山口 当日です。開場前にクレデンシャルを受け取るまで、撮影ポジションがどこなのかわからないので。リングサイドだとわかった瞬間はテンション爆上がりですよ。望遠で撮る覚悟でラスベガス入りしていましたから、夢かと思いました。普段、リングサイドで撮影するときは血が飛んできたりするので黒い服を選ぶんですが、今回は望遠だろうと思っていたので当日も白いTシャツを着ていたくらい。ジムワークのために新しく買ったレンズも使うことができました(笑)。 ――試合の話を聞かせていただければ。初回の攻防は、リングサイドからどう見えていましたか? 

山口 尚弥選手はつとめて慎重に、そして冷静に、自分の距離を確認しながら戦っていました。少なくともルイス・ネリ戦のように強引にいく感じではなかったですね。一方のカルデナスも、尚弥選手相手にビビっていなかった。多くの選手は1ラウンドでモンスターのスピードに圧倒されたり、ガードの上からパンチを食らったりして萎縮してしまう。でも、カルデナスはまったくひるんでいない。相当念入りに「井上尚弥」をイメージしてきたんだと思います。 ――そして、問題の2ラウンド。あのダウンシーンは衝撃的でした。 <つづく>

(「ボクシングPRESS」曹宇鉉 = 文)

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