山本由伸が吉田正尚に"贈った言葉" 7月ボストンでポツリ…背中を押した自然体の一言
【MLB】Rソックス 3ー1 ヤンキース(日本時間1日・ニューヨーク)
【PR】平日MLB見るならアベマ! 厳選試合を平日毎日無料生中継!自然と口にした言葉は、現実となった。レッドソックスの吉田正尚外野手は30日(日本時間10月1日)、敵地で行われたヤンキースとのワイルドカードシリーズ(WCS)第1戦に代打で登場。1点を追う7回1死二、三塁から初球を弾き返して値千金の逆転2点適時打を放ち、一塁ベース上で笑顔を弾けさせた。人知れず汗を流し、苦悩を乗り越えたからこその微笑みだった。
「なんかね、まだ……。ちょっとしっくりきてないんよな。打球の上げ方とか、(投球)ラインへの(スイング軌道の)入れ方とか。試して、試して……っていう状況かな、今は」
右肩手術の影響で出遅れた今季。メジャー復帰を果たした7月下旬、遠征でボストンに来ていたかつての同僚と会い、少しだけ“本音”を漏らした。珍しくマイナスの言葉を発した“先輩”に向かって、遠くの山々を見つめるようにドジャースの山本由伸投手は、そっと言った。
「正尚さんなら、大丈夫じゃないですか……?」
その言葉を聞くと、フィリーズのブライス・ハーパー内野手から受け取った大切なバットで素振りをしていた吉田は、小さく頷いてスイングをやめた。
オリックス在籍時から「投打の神」と評された2人。古巣を2021年に25年ぶりのリーグ優勝、2022年には26年ぶりの日本一に導いた主役たちが、ユニホームの色を変えた異国の地でも奮闘を続けている。
2023年には第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンを悲願の世界一に導いた。準決勝のメキシコ戦で吉田が放った起死回生の同点3ランに、山本は「あの場面で打てるのは本当にすごいです……」と絶賛するが、2人は特段と深い話はしない。他愛もない会話で盛り上がることは多々あるが、核心をつくトークはほとんどない。言葉にしなくても理解しあっているからこそ「正尚さんなら、大丈夫じゃないですか……?」の一言だった。
その言葉通り、吉田は状態を徐々に向上させた。9月は21試合に出場して、打率.316、2本塁打、13打点の成績。勢いをつけて、自身初のポストシーズンに臨んでいる。山本も9月は4試合に先発して1勝0敗、防御率0.67。27回を投げて34奪三振、11四球、被安打7の内容で、防御率と被打率.081、WHIP0.67はメジャートップだった。
山本は、10月1日(同2日)にドジャースタジアムで行われるレッズとのワイルドカードシリーズ(WCS)第2戦に先発予定。東海岸で躍動する吉田の胸には、あの時と“同じ言葉”で背中を押す準備ができている。
(真柴健 / Ken Mashiba)