「コベカツ解説」(1)中学校の部活動が完全移行 なぜ移行? 保護者の負担、メリットは? 推進担当者に聞く
神戸市教育委員会は、市立中学校の部活動を2026年8月末に終了し、9月から「コベカツ」として完全に地域移行する。なぜ部活動が終わるの? どこでどんな活動ができるの? 保護者のお金の負担はどうなるの? さまざまな疑問点について、市教委のコベカツ推進担当者に聞いた。
=全3回の1回目=
(聞き手・斉藤正志)
-部活動の終了には、どんな理由があるのですか。
「少子化による生徒数の減少が最も大きな理由です。現在、神戸市内の中学生は約3万3千人います。10年後の推計では約1万人減ります」
「生徒数によって学校に配置される教員数は決まっており、このまま生徒が減っていけば、部活動の顧問を担える教員がいなくなってしまいます。部活動は種目数が減り、いずれはなくなってしまう可能性が高いです。コベカツに移行するのは、子どもたちが多様な活動に参加できる機会を確保するためです」
神戸新聞NEXT-部活動でいい思い出を残してほしいという保護者も多いと思います。
「かつてと今では、部活動は大きく変わっています。国のガイドラインがあり、昔は早朝練習をするなど教員が熱心に指導するケースもありましたが、現在、朝練は禁止されています。練習は平日2時間まで、休日3時間までで、土日のどちらかと水曜の週2日は休養日にしなければなりません」
-活動時間が短くなっているんですね。
「例えば放課後の午後4時から部活動を始めたとしても、下校時刻の5時ごろには終わらなければいけません。平日は実質1時間くらいしか活動できていません。準備と後片付けを含めると、もっと短くなります。保護者の体験した部活動と、現在の部活動では大きく変わっている現状があります」
コベカツ体験会でスポーツクライミングを教わる児童=2月15日、神戸市長田区(市教育委員会提供)-部活動以外のクラブチームなどを選ぶ生徒も多いのですか。
「増えています。例えば、サッカーはクラブチームを選ぶ生徒が多く、部活動があるのに11人がそろわないケースもあります。一方で、競技性を求めるよりも、楽しんで活動したいという生徒もいます。こうした傾向があり、少子化も進む中、何とか維持してきたというのが部活動の現状です」
-部活動を来年の8月末に終了し、9月にコベカツに完全移行というのは早すぎないですか。
「移行時期を遅らせても、現在の部活動の維持が難しいことは変わりません。どこかで期限を切らないと、持続できない部活動が縮小しながら続くだけになってしまいます」
コベカツ体験会でゴルフに挑戦する児童=3月20日、神戸市北区(市教育委員会提供)-現在の中学1年生や小学6年生は、年度途中に部活動からコベカツに移行します。取り組んでいた活動ができなくなりませんか。
「部活動は終わりますが、部員数が多く、一般的にニーズが高い種目は、近隣校か自分の通う学校でコベカツとして活動できるように調整していきます」
-コベカツに移行すると、主にどんなメリットがありますか。
「多様な活動から、生徒が自分で選べるようになります。現在も他校から参加できる拠点校の制度はありますが、部活動では、自分の学校以外の活動には原則として参加できませんでした」
「例えば、『うちの学校にはバドミントン部しかないから隣の学校の卓球部で大会に出たい』と思ってもできませんでした。コベカツになると、そうしたことが可能になり、『あの指導者の下で活動したいからクラブを選ぶ』ということもできるようになります」
コベカツの登録クラブ数-楽しんで活動したいという生徒の希望にも応えられますか。
「コベカツでは、競技経験のある指導者による専門的な指導を受けられるクラブだけでなく、趣味を楽しむようなクラブなど、多様な活動から選べるようになります」
「部活動に行くのが嫌で学校に行けなくなるケースもありますが、コベカツなら、そのクラブをやめて別のクラブに移ることもできます」
-どんな活動ができるようになりますか。
「第1次募集では、野球やバレーボール、吹奏楽などのニーズの高い活動に加え、ダンスやボルダリング、ボードゲーム、釣り、ドローン操縦、プログラミング、料理など、これまでの部活動ではなかった活動をする団体が登録されました」
「例えばドローンサッカーなら、電子回路やロボットの組み立てなども学べます。英会話のクラブもあります。クラブによっては、生徒の将来の選択肢が広がることにもつながります」