開発現場に変革をもたらす新機能とは(ZDNET Japan)

 OpenAIは米国時間10月6日、コーディングエージェント「Codex」の一般提供を開始したと発表した。まずはCodexに追加された新機能について紹介しておきたい。これがなかなか興味深い内容だ。  最初に取り上げたいのは、「Slack」との連携機能である。筆者は以前から、チャットボットを使ってコードを書くことは、Slackで同僚とやりとりしながら作業する感覚に近いと感じていた。何年も一緒に仕事をしている同僚が何人かいるが、実際に会ったことは1度もなく、Slack以外で会話したこともない。  Slack上でチャットボットと話す体験は、ちょっとしたチューリングテストのようでもある。エンジニア仲間は、生成AIが登場する以前からの付き合いなので、彼らが人間であることは間違いない。しかし、その会話のパターンを見ていると、AIでも違和感がないほど自然である。だからこそ、SlackでAIと会話していても、同僚と話しているように感じるのは不思議ではない。  SlackとCodexを連携させると、@codexとメンションするだけでCodexから返答が得られるようになる。  OpenAIが発表したもう1つの大きな機能は「Codex SDK(ソフトウェア開発キット)」である。これにより、コードの中からCodexを呼び出せるようになった。さらに、OpenAIは新たに「GitHub Action」もリリースしており、これを使えばCodexをCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デプロイメント)パイプラインに簡単に組み込める。  これは非常に大きな進展であり、Codexが自動化されたエンジニアリングワークフローの一部として機能する可能性を示している。ただし、Codexを他のワークフローに組み込んで自律的に動作させるには、相応の信頼性が求められる。例えば、バグ報告システムと連携させることを想像してみてほしい。バグが報告されると、チケット管理システムが自動的にCodexを起動し、修正可能かどうかを確認する。それも、開発者の手を煩わせることなく。  とはいえ、注意が必要だ。Codexは非常に強力である一方で、驚くほど的外れなことをする場合もある。筆者の経験では、明確な人間の指示がないと、予想外の挙動をすることがある。Codex SDKが人間の監督を不要にするソリューションだと誤解されることを、強く懸念している。そのような誤解は絶対に避けるべきだ。  少し意外だったのは、OpenAIによると、「ChatGPT」の管理者がCodexのクラウド環境を編集・削除できるようになったという点だ。Codexがリポジトリー上で作業を行う際には、隔離された作業用コンテナーが作成される。これまで、セッションが終了すればそのコンテナーは削除されるものと思っていた。しかし実際には、Codexはそれらのコンテナーを保持しており、後からログや差分を確認できるようになっているようだ。  もちろん、これらのコンテナーには機密情報が含まれている可能性がある。そのため、ChatGPTの管理者がそれらを削除できるようになったというわけだ。さらに、管理者は「Codex CLI」やIDE拡張機能をローカルで使用する際に、より安全なデフォルト設定を強制することも可能になった。例えば、管理された設定を通じてオーバーライドを定義したり、Codexの操作を監視したりできる。  加えて、OpenAIは新たな分析機能も導入しており、さまざまな対話形式における使用状況を報告したり、コードレビューの品質を追跡したりも可能になっている。これらの管理機能は、Business、Edu、Enterpriseプランのユーザーに提供されている。  以前、Codexのリソース割り当てについて書いたことがあるが、ProプランのユーザーにはPlusプランのユーザーよりも多くの使用枠が与えられている。この点は現在も変わっていない。ただし、10月20日からは、Codexクラウドタスクの使用量がリソース割り当ての一部としてカウントされるようになる。Codexの各プランとその違いについて詳しく知りたい場合は、OpenAIの専用ページを参照してほしい。  さて、ここでOpenAIの発表にあった「一般提供(generally available)」という言葉について触れておきたい。率直な疑問として、「8月から9月にかけて利用が10倍に増えたものが、なぜ今になって『一般提供』とされるのか?」という点がある。  実際、この疑問をOpenAIに直接問い合わせてみた。筆者は毎月200ドルを支払ってCodexを利用しており、非常に快適に使えている。つまり、すでに「利用可能」な状態だったわけだ。では、今回の「一般提供」とは一体どういう意味なのか?  OpenAIの広報担当者から返答があり、次のように説明された。「指摘の通り、Codexはこれまで研究プレビューとして、PlusおよびProユーザーに提供されていた。Codexはすでに個人開発者の間で大きな支持を得ているが、一般提供(GA)に当たっては、Codexが開発者の作業環境全て(エディター、ターミナル、Slack、独自ツール)で利用可能であること、そしてエンジニアリングチームにとってより有用であることが重要だった。Slack連携、Codex SDK、管理ツールはそのために不可欠だった」  要するに、OpenAIはCodexを有料プレビュー段階から正式な製品へと昇格させたということだ。もちろん、マーケティング的な言葉の使い分けはあるが、筆者が受け取ったメッセージは1つ――「本格的に始まった」ということだ。  そして、Codexについて徹底的に調べた実感としても、確かにこれは「本気のツール」だと言える。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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