ラリー・エリソンとは何者か? 年齢を感じさせないAI億万長者の「8つの事実」
AIブームのさなか、データセンター投資が過去最高を更新する中で、クラウド大手オラクルの共同創業者で会長で最高技術責任者(CTO)であるラリー・エリソンは、世界一の富豪の座をめぐってイーロン・マスクと争う存在になっている。 同社は2026会計年度第1四半期の決算説明会で受注残高が359%増と発表し、9月12日時点で株価は36%急騰している。オラクル株の約40%を保有するエリソンは、これによりフォーブスの世界長者番付でマスクに次ぐ第2位となった。 参考までに、メタのマーク・ザッカーバーグ、アマゾンのジェフ・ベゾス、エヌビディアのジェンスン・フアン、グーグルのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンらを含む世界の富豪上位7人(いずれもAI分野の大物)の純資産は合計で2兆ドル(約295兆3200億円)を超え、カナダのGDPに匹敵する規模だ。 エリソンは現在81歳で、49歳のときから億万長者だが、彼の物語を典型的なアメリカンドリームたらしめる意外な事柄がいくつもある。 ■1.貧困から富へ 彼は第二次世界大戦中、ニューヨークで未婚の10代の母のもとに生まれた。生後わずか9か月で肺炎にかかると、母は彼を母方のおばとおじの養子に出した。彼らはシカゴ南部の労働者階級の地区で彼を育てた。 養父は勤勉なロシア系移民で、愛国心の強い米軍の爆撃機パイロットであり、権威を敬うことを彼に教えた。しかし1960年代になると、エリソンは大学を2度中退した。その後、彼は自らの道を切り開き、コンピューター・プログラミングへの情熱に従うことになる。 ■2.CIAが創業のきっかけ 彼はバークレーに移り、いくつかのテック企業でコーディングを行い、Ampex(アンペックス)に就職した。そこではCIA向けに「Oracle」(オラクル)と呼ばれるデータベースを構築するチームに配属された。 IBMの研究論文『A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks』(大規模共有データバンクのための関係モデル)に触発され、彼は同僚とともに、関係データベースの商用化でIBMより先に市場に出るべく独立してスタートアップを立ち上げた。彼らは自腹の2000ドル(1977年当時の為替レート1ドル270円程度で考えると約54万円、現在の為替レートでは約29万5000円)で会社を始め、CIAから5万ドル(現在の為替レートで約738万3000円、以下同じ)の契約を獲得してシード資金とした。数年後、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)の支援を受けて社名をオラクルに改めた。1986年に上場(マイクロソフトの前日)し、1993年にはフォーブスが初めてエリソンを億万長者と認定した。