結成14年DISH//が初の富士急2DAYS 『あんぱん』出演中の北村匠海が語った「夢」【ライブレポート】

 4人組ダンスロックバンド・DISH//が、13日、14日の両日に山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストで単独公演『DISH// SUMMER AMUSEMENT ’25 – GAME -』を開催した。2019年にスタートした同バンドの夏ライブで、今年は3年ぶり4度目にして初の2DAYSとなった。ENCOUNTは14日の模様をレポートする。(取材・文=生島マキ)

 ステージは定刻通り、午後5時にスタートした。メンバーの北村匠海、矢部昌暉、橘柊生、泉大智は花道の先端ステージから登場。意表を突かれたスラッシャー(ファンの呼称)は驚き交じりの歓声を上げた。その反応を喜んだ4人は、手を振りながらメインステージへと歩き、並んでファイティングポーズ。モニターにはバーチャルゲームのコマンドが映し出され、「クラップ!」「ジャンプ!」「ワイパー!」「手をまわせ!」の指示に、会場が一体となって応えた。

 まさにゲームのチュートリアルを思わせる導入の後、始まったのは『Starting Over』。DISH//の4人体制となって初めてリリースされたシングルであり、「再出発」「新たな旅立ち」を意味する大切な曲。イントロが響いた瞬間、歓声が爆発し、ボルテージは一気にマックスになった。

 続く『マジで無理~SUPERムチャブラレターズ』は、某RPGを思わせるゲーム音のイントロで遊び心全開。さらに『KICK-START』では、北村と矢部がギターを弾きながら軽快に体を動かし、キーボードの橘、ドラムの泉もノリノリで演奏。ステージが熱を帯びてきたタイミングで北村が言った。

「コニファーは4回目にして初めての晴れです。僕らにとっては神々しいくらい。ようやくこの景色をみんなと見られました。全員、置いていかない。どうかついてきてください!」

 「初めての晴れ」については、「きっと、雨男の誰かが改心したんだな」の後にカメラが泉を抜き、スラッシャーは爆笑した。

 ハイライトとなった7曲目は、新曲『躍りゃんせ』。本公演に向けて制作されたこの同曲は、演奏しながら踊る“ダンスロックバンド”楽曲。ダンサブルで力強いサウンドに、観客は体を揺らし続けた。そして、歌い終わった北村が「楽しんでますか?」と言いながら視線を巡らせ、一呼吸おいて続けた。

「いやいや、コニファー、キレイだな。だいたい、いつもこのタイミングから雨が降ってきて、MCの時にみんなが下を向いてレインコートを出し始めるんだけど、今日は気持ちいいです。ありがとうございます!次の曲は、何度歌っても、何年たっても、僕らにとっては大事な曲。思い返せば2020年から、この曲でたくさんの人が僕らを知ってくれて、この曲自身もすごく愛してもらっています。だからこそ、今一度大事に歌いたいと思います。みんなに届くといいな。『猫』、聴いてください」

 DISH//の知名度を一気に上げたヒット曲『猫』が始まると、会場の熱気は一転。北村の切ない声に耳を澄ます静寂が広がった。夕暮れがその空気を後押しするようにステージを照らし、安らぎをもたらした。続く『温もり』では、柔らかなメロディーが夜風に溶け込み、観客を優しく包み込んだ。

 メンバーが一度姿を消すと、モニターにはバーチャルレースゲームが映し出された。まるで「マシンセレクト」の画面のように観客の視線が釘づけになる中、最終的に“トラック”が選ばれる。すると、実際に大型トラックがステージ横から登場し、楽器と4人を乗せて後方へ移動。客席最後列に迫っていった。いつもはリラックスしたトーンで響く『SAUNA SONG』も、トラック上でのパフォーマンスにより会場は大盛り上がり。橘が「こっちが最前列だな! 俺らと一緒に歌おう」と叫ぶと、大合唱が巻き起こった。

 背後の山並みは燃えるような夕焼け。音楽と自然、演出が重なり、太陽すら沈みたくないと訴えているかのようだ。続く『音花火』は、橘と北村のWボーカル。北村はトラックを飛び降り、走り回りながらのびやかに歌い上げた。そして、『B-BOY』では、会場のボルテージが最高潮を迎えた。

 メインステージに戻ると、北村は「3年ぶりのコニファーなのに、あまりブランクを感じない」と実感を込めた。矢部はあらためて晴天に触れ、「昨日は降るか、降らないかなって感じだったけど、今日は『ピカーッ!』だね」。橘は「ここ最近で一番気持ちいい『猫』だった。俺らからは富士山が見えてるんだもん。みんなは背にしていて残念だけど」と笑いを誘った。

 そして、橘が唐突に言った。

「そんなこんなで、ふと思ったんですけど、『褒める』って大切だなって。何かさっきどこかで褒められてそう思った。画面を2回タップもいいけど、やっぱり、口に出して、『いいね!』って言うことって、すごく大事だと思うんだよね。僕も自分を褒めたいと思っているので、みんなも自分を褒めてあげてください」


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