米中間選挙まで1週間、ドル円に今年最大のイベント週が到来!選挙結果がもたらす「波乱材料」とは
先週のドル円はAI株への警戒による世界的株安などが要因で一時156円を割れそうになりましたが158円近辺まで買い戻されました。今週はFOMCや日銀金融会合が重なる中銀ウイーク、来週には米中間選挙や米中首脳会談を控え、今年最大といえるイベント週間が到来します。イベント終了後、ドル円は現状維持か、一段上の円高となるのか注目です。
この記事の目次 [閉じる開く]先週のドル円は、AI関連株への警戒感から世界的に株が下落したことや、仏財政不安から仏国債が売られ、安全資産として米国債が買われたこと(米国金利の低下)によって円高となりました。
ドル円は一時156円を割れそうになりましたが、格下げを免れた仏国債が買い戻されたことや原油高を背景としたインフレ懸念から買い戻され、ドル円も158円近辺で中銀ウイークを迎えようとしています。
10月27~28日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、28~29日に欧州中央銀行(ECB)理事会、29~30日には日本銀行金融政策決定会合が開催されます。日本時間でみると、結果発表と記者会見の時間は以下の通りとなります。
・FOMC 29日(木) 午前3時:結果発表
午前3時半:ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長 記者会見
・ECB理事会 29日(木) 午後10時15分:結果発表
午後10時45分:ラガルド総裁 記者会見
・日銀金融会合 30日(金) 正午前後:結果発表
午後3時半:植田和男総裁 記者会見
このように日本時間では29日、30日に集中していることが分かります。日米欧とも今回の利上げは見送りとの見方が大勢ですが、直近の消費者物価指数(CPI)は日米欧とも上昇している中、年内の追加利上げについてタカ派姿勢が強まるのかどうか注目したいと思います。
日米欧の直近のCPIの動きを見てみますと、米国CPIは、米国・イスラエルのイラン攻撃以降、エネルギー価格の上昇によって5月には4.2%まで上昇しました。その後イランとの紛争終結期待から原油が低下し、CPIも3.4%まで下がりましたが、サウジアラビアへの攻撃など戦火が広がり、原油が再び上昇してきたため、9月には3.7%に上昇しました。
ユーロ圏でも同じような動きをしています。米国・イスラエルのイラン攻撃以降、5月には3.2%まで上昇しましたが、イランとの紛争終結期待からCPIも2.8%まで下がりました。しかし、中東地域での戦火拡大から原油が再び上昇してきたため、9月には3.8%へと急上昇しました。
日本のCPIは、米国・イスラエルのイラン攻撃以降エネルギー価格が上昇したため、3月には1.7%に上昇しましたが、政府の電気・ガス代補助の政策効果によって、4月には1.4%まで低下しました。
しかし、原油が再び上昇してきていることから9月には2.1%と9カ月ぶりに2%台に上昇しました。政府の政策効果によって9月の物価全体の伸び率を0.82%押し下げたとの試算ですが、インフレ圧力が政策効果を上回りつつある状況です。来年3月までには3%台に達するとの見方もあるようです。
このように各国とも物価が再上昇し始めており、一方で物価高により消費や住宅投資、企業の投資行動が慎重になるなど景気への影響が出始めていることから、中央銀行内で意見が分かれることが予想されます。FRB指導部は、利上げを急ぐ必要はないとのスタンスで、12月FOMCまでにデータを見極める必要があるとの姿勢ですが、FOMC内ではタカ派意見も根強くあります。
ユーロ圏は9月に物価が急上昇しましたが、フランスを中心に国債利回りが上昇していることから、この不安定な局面での利上げはかなり難しい選択肢になりそうです。ラガルド総裁は、17日、「長期金利が著しく上昇し、金融環境が引き締まっている」と指摘しており、ECBがフランスの長期金利上昇にどのように対応するのかが焦点になっています。
ユーロは仏財政不安から既に売られているため、ECBの対応によっては買い戻される可能性もあるため注意が必要です。その場合、ユーロの買い戻しによって、ユーロ円も買い戻され、ドル円の円安を後押しする可能性も予想されます。
高市早苗首相は19日の参院予算委員会で「高市円安」だの「高市高金利」だのと言われてきたことを明確に否定し、「強い経済をつくることにより円の信認も高めていく」と強調しました。 高市政権に任命された日銀の審議委員二人は9月の利上げに反対しましたが、高市首相の姿勢が変わった現状で、どのようにスタンスが変わるのか注目したいと思います。
彼らの姿勢が利上げに前向きに変わっていたら、日銀の方が利上げに進む道筋に迷いがないように見えるかもしれません。
10月の日銀会合では同時に公表される展望レポートにも注目です。物価の見通しが上方修正されるとの見方があり、どの程度上方修正されるのか注目です。また、植田総裁が、19日の参院予算委員会で基調的な物価上昇率について「2%におおむね近く、これ以上上がることは容認できない」と強調しましたが、同じ内容が繰り返し強調されるのか注目したいと思います。
記者からの質問によっては、連続利上げについて強い印象を与えることになるかもしれません(円高材料)。逆に、慎重な言い回しになると前回の発言内容から後退したと捉えられる可能性もあるため(円安材料)、注意したいと思います。
以上のように、日本時間の29日早朝から30日夕方にかけて相場は動くことが予想されます。
しかし、中銀会合で多少上下に振れたとしても、一時的な動きになることも予想され、11月3日の米中間選挙が終わるまでは様子見となるかもしれません。
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大手金融機関でセールス業務、為替ディーリング(22年)に従事し、若手社員にも為替関連業務を教示してきた大ベテラン。「お金は戦後最大の成長産業」と言い切り、「新聞などの身近な情報で為替分析」がモットー。
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